30周年記念モデルに「IGZOディスプレイ搭載」シャープ傘下のdynabookで東芝のDNAはどうなる(2/2 ページ)
コモディティ化と海外メーカーの台頭をきっかけに、日本企業のPC事業撤退が相次ぐ中、2019年、新たなPCメーカーが誕生した。国産PCメーカーのDNAは受け継がれるようだ。
東芝とシャープのDNAを受け継ぐ意思表示? フラッグシップモデルのメッセージ性
dynabook Gシリーズの「G」の由来は「本物の、正真正銘の、真の、誠実な、純粋な」といった意味を持つ「Genuine」による。シリーズの最大の特徴は13.3インチ(1920×1080ドット)のIGZO液晶ディスプレイを搭載しながら、約779グラムという「超軽量」を誇るところにある。
さらに、米国防省制定「MIL規格」に準拠した堅牢性と、最大で約19時間(4セルモデル)という超ロングバッテリー駆動性も備える。第8世代インテルCPUやPCIe対応高速SSDを搭載、赤外線センサーと可視光センサーを同時に処理する「Windows Hello」対応の赤外線顔認証機能を搭載し、なりすましを防止した高度なセキュリティも実現する。
特にディスプレイにIGZO液晶を採用した点は興味深い。「IGZO液晶ディスプレイ」といえばシャープ製のPCやスマホに多数採用されてきた。今回シャープ傘下の新生dynabookが、フラッグシップモデルにIGZO液晶を搭載したことは、そのまま新生Dynabookの方向性を示すメッセージになっているといえよう。
Dynabook 社長兼CEO 覚道清文氏はdynabook Gシリーズについて、「東芝時代から培ってきた軽量、薄型、堅牢性といった技術とシャープの持つ軽量、高精細、省電力液晶技術が融合した製品」と説明する。
この発表に日本マイクロソフトの平野拓也社長や、インテルの鈴木国正社長も祝辞を贈っている。
「dynabook Gシリーズは軽量コンパクトで可搬性の高さを実現するとともに、指紋認証や顔認証といったセキュリティ機能も備えていて、働き方改革やデジタルトランスフォーメーションに貢献する製品」(平野氏)
「dynabookはノートPCの先駆者であり、これまでPC業界をけん引してきた存在。誕生からの30年間でPCの開発や設計、製造、販売などに大きな変革があった。その歴史の中を存続してきたことそのものがdynabookの大きな『財産』だ。このブランドを愛してきたユーザーの支えや業界からのリスペクトがあればこそ」とdynabookの歴史と、ブランドの強さをたたえた。
社名に製品ブランド名を冠したメーカーといえば、かつてソニーのブランドだった「VAIO」シリーズの名を冠した「VAIO株式会社」の存在を思い出す。2014年に設立されたVAIOもかつてのブランド力を保ちながら魅力的な製品を送り出し続けている。Dynabookは法人向けモデルを中心に世界展開も視野に入れて製品展開を進める計画だ。
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