【事例】定例会の見直し方 ベックマン・コールターの加藤さんはどうやって会議を変えて会社を変えるか:消えた「資料作成で休日出勤」、見えてきた「ビジネスの課題」(2/3 ページ)
マネジメント業務の多くの時間を定例会議の準備に割かざるを得なかった組織を変えたのは何か。業界再編を機に経営手法を刷新した医療機器の専門企業が、現場を変えるために取り組んだのは、会議の改革だ。経営手法の変革と会議の関係は?
共通のKPIを追うものの、会議の準備に疲弊することに
ここで問題となったのが、データをまとめる作業が煩雑なことだ。例えば加藤氏の場合、毎週あるいは毎月開かれる会議のため、複数の部門からデータを集めてはExcelを使って集計し、多くの資料を手作業で作成していた。
「当時よく作成していたのはわれわれの独自指標である『お客さまの維持率』や『潜在顧客の数』『新規顧客にアプローチした際の勝率』といったデータをグラフ化したものです。これらは、当時から使っていた顧客関係管理(CRM)ツールやSFAでも確認できます。ただ、SFAのダッシュボードやレポート機能だけでは、レポートに必要な情報を得るには不十分な面があると感じていました」(加藤氏)
同社はSaaS型のCRMやSFAを採用しているが、各ツールが提供する機能は各部門内の業務に最適化されている。
これらのツールを利用することで各部門の活動状況をデータ化でき、次のアクションプランを見やすくなる。だが「現状が過去の実績と比較してどうか」「それらの情報をより大きな軸で他の情報と比較した場合にどうか」といった部門を越えた視点での分析やレポートを前提とした機能は備わっていない。
「例えばある時点の商況は確認できるのですが、顧客や市場全体のトレンドをつかむのが難しいのです。社内のマーケティング部門ではMAツールを、全社の基幹システムはERPを使っていて、それらを組み合わせてデータを導く必要性もありました」(加藤氏)
Excel作業のために休日出勤、見合わない成果
これらの問題を解決するため、さまざまなツールから抜き出したデータを加工し、Excelで加工する作業が必要になった。だが圧倒的に作業にかかるコストと成果が見合わないと感じていたという。そこで、対策を打つことを決定する。
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