「BI使いこなしまくり」のカブドットコム証券は「データの前処理」ツールも使いこなしまくっていた(1/2 ページ)
カブドットコム証券は業務分析に主要なセルフサービスBIツールを使いこなす。その中でも分析前の「もやっとした」情報にも使いやすい前処理ツールがあるという。活用例を紹介する。
「Tableau Prep」(以降、Prep)はデータ分析の前段階でのデータの結合、形式変換、クリーニングのための新しいツールだ。いち早く活用するカブドットコム証券の石川陽一氏が、利用の勘所を同社事例に即して紹介した。
※本稿はTableau Japan主催「Tableau Data Day Out 東京」(2019年5月14日、東京で開催)での講演を基に再構成したもの。
カブドットコム証券はセルフサービスBIツール「Tableau」を2016年に導入、現在は社内1500ユーザーがデータ分析に活用している。リアルタイムのアドホック分析が求められる証券業務は、迅速な意思決定のために何よりもデータ分析のスピードや結果表示の洗練が強く求められる。そのため2018年4月に提供が始まったPrepもいち早く導入、「Tableau Desktop/Server」と併用して高速な分析と意思決定の迅速化に役立てている。同社のシステムリスク管理室長の石川陽一氏は2013年ごろからTableauに親しみ、同社における導入や普及を主導してきた。同氏はPrepの利用経験をベースに、4つの事例で活用法を紹介した。
ETLツールはIT人材しか扱えない、「もやっ」に答えを出せない
一般的に「データ分析に必要な時間の8割はデータを分析に適した形に整える前処理にかかる」とされるのが現在データ分析を取り巻く事情だ。その前処理を高速でシンプルにするのがPrepの役割だ。石川氏は「従来使われてきたETLツールは、データ処理の専門知識がある人材がデータベースなどの正規化されたデータを加工して設定するものだった。一方のPrepは(必ずしも整理されていない)『もやっとした』データもユーザー自身がTableau Desktopで分析可能なデータに変換できる」という。
カブドットコム証券は分析業務にTableauの他、「splunk」「DOMO」「Power BI」を利用する。これらの中にはデータ前処理機能を持つツールもあるが「Prepは他ツールよりも処理時間を短くできる」という。
同社は複数の目的でPrepを利用する。ここでは4つの代表的な利用例を紹介する。
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