Wi-Fi 6とは? IoT時代に最適な無線LAN「IEEE 802.11ax」(2/3 ページ)
2019年度後半に最終承認される予定の無線LAN規格「IEEE 802.11ax」。Wi-Fi 6とも呼ばれる新たな規格がいよいよ実装され、既にReadyな状態で製品出荷も始まっている。このIEEE 802.11axとはどんな規格なのか、スループットを支える技術概要に迫ってみたい。
IEEE 802.11axの特長
IEEE 802.11axは、アクセスポイント(AP)とデバイスとの同時処理能力を高めることで無線空間を効率的に利用できる点が最大の特長だろう。それ以外にも、IoTデバイスを考慮した省電力機能など、さまざまな機能が実装されている。
新たに採用した「OFDMA」
「OFDMA」(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)はIEEE 802.11axで新た採用された無線通信方式だ。無線LANでは、以前から「OFDM」(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重変調方式)という、複数の搬送波に複数の情報を乗せて送るマルチキャリア伝送方式を採用してきた。しかし、周波数の使い方からすると帯域を占有することになり、アクセスするデバイス密度が高い場合はショートパケットが数多く送信されてしまい、無線空間を有効に活用できないことがデメリットだった。OFDMAでは、周波数をサブチャネルに分けてResource Unit(RU)の単位で分割し、端末に割り当てることで、複数の端末からのパケットを同時に収容できる。複数ユーザーの同時通信が可能で、効率的にチャネルを利用して遅延を低減しながら、全体のスループットを向上できるようになる。このOFDMAは携帯電話で利用されているLTEでは既に採用されていたが、今回無線LANにて初めて採用されることになった。
干渉対策としてのBSSカラーリング
CSMA/CAを採用する無線LANでは、デバイスがキャリアセンス(チャネルが空いているかどうかのチェック)を行い、空いているタイミングで送信することでパケットの衝突を回避している。
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