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AI(人工知能)の活用状況(2019年)/前編

ヒトの仕事を奪うとまで言われ、業務効率化や自動化といった文脈で語られるAI(人工知能)。だが、現在のAIに対する評価はどのようなものか。アンケートを通じて読者に尋ねた。

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 キーマンズネットは2019年8月5日〜23日にわたり「AI(人工知能)のビジネス活用に関する調査」を実施した。全回答者数111人のうち、職種でみると情報システム部門は38.7%、製造・生産部門が21.6%、営業・販売部門が8.1%、経営者・経営企画部門が4.5%と続き、業種ではIT関連外製造業が36.9%、IT製品関連業が35.1%、流通・サービス業全般が20.7%などと続く内訳であった。

 今回はAIの「理解度」から「ビジネス活用の是非」「活用への関心度合い」を中心に、企業におけるAI活用実態を把握するための質問を展開。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

AIの認知、理解率は9割、しかしその過半数が漠然とした理解

 1950年代後半から1960年代にかけて始まった第1次AIブーム。そして今、あらためてAIに注目が集まり、現在第3次AIブームといわれる。「AIを取り入れた」とうたう製品やソリューションも増え、ビジネス活用への期待が寄せられる。しかし、そもそもAIという技術を利用することによって何が実現できどのような恩恵が受けられるのか、そのメリットをどの程度理解しているだろうか。そこで、まずはAIへの理解度を調査するところから始めた。

 読者に対して「AIをどの程度理解しているか」と尋ねたところ、「AIで実現できることやメリットを漠然と理解している」が53.2%、「AIで実現できることやメリットをよく理解している」が20.7%と、7割強がAIの活用メリットを理解していることが分かった(図1)。ただ、「漠然と理解している」と回答した層が全体の半数以上を占め、まだ理解が曖昧(あいまい)な部分もある。ちなみに、AIについて「聞いたこともなく、全く分からない」と回答したのは0.9%のみだった。

 AIに対する理解度を業種別でみると、「機器・ソフト製造」や「IT製品販売/受託開発」などのIT製品関連業が84.6%と最も高く、続いて「小売・流通」「電気・ガス・水道」「運輸・物流」「放送・出版・Webメディア」などの流通・サービス業全般が69.6%、「電気・電子・OA」「食品・石油化学・薬品」などのIT関連外製造業が63.4%となった。関連して従業員規模別で見ると、中小企業に比べて大企業に属する層の方が理解度が高い傾向にあった。全体的にみると、AIのメリットについて大体は理解できているものの、未だ漠然としている方が多数であるというのが現状と言えるだろう。


図1:AIの理解度

AIに対する期待値と信頼度は? AIの習熟度に対する読者の評価

 AIを取り入れた製品やソリューションが提供され、実用フェーズに差し掛かっている。一方で、ブームだけが白熱しているが技術をみると未成熟であるという声も聞かれる。果たして、今のAIは“使える”技術なのだろうか。読者の本音を聞いた。

 「今のAIはビジネスで活用できるレベルに達していると思うかどうか」を尋ねたところ「十分に活用できている」とした回答した方は1人もおらず、「課題はあるが活用できるレベルである」44.5%、「未成熟であるが、活用できなくはない」40.9%の2つに回答が集まる結果となった(図2)。

 AI活用に対する反応は、「課題はありながらも一部活用できるシーンがありそう」というところなのだろう。詳細は後編で触れるが、AIを取り入れたソリューションを活用する業務は、「ビジネスデータの分析やWebサービスの運営」「文書翻訳やシステム運用管理」など、タスクを自動化、補助することで業務効率の改善を図る用途が多かった。一方タスクを自動化するためには当然「既存業務のどのフローを見直し、どのタスクを自動化させるか」などAI活用のためのアイデアやスキルが必要で、人材や有効な業務改善事例が市場にそこまで多く存在していないことなども、AI活用に対する信頼度がそこまで高まらない背景にあるのだと考えられる。


図2:AIはビジネスで活用できるレベルに達しているか

AIに対して関心を示すもトップダウンでのAI利用も

 AIというワードの認知度が高まったことでAIによる業務改善計画を検討し始める企業も少なくない。最後に勤め先の企業でのAI活用に対する関心度合いを聞いてみたところ「非常に関心がある」25.5%、「やや関心がある」46.4%、「やや関心がない」16.4%、「全く関心がない」11.8%となり、まとめると71.9%が自社でのAI活用に関心を持っていることが分かった(図3)。

 理由を聞いたところ「関心がある」と回答した層からは「ものづくりの現場では、AI活用は今後もキーポイントの一つになると思う」「IoT(モノのインターネット)、RPA(Robotic Process Automation)との連携により、人の目や手に頼っている部分を効率化するための選択肢の一つとして期待」「品質管理やコスト計算など、今まで最初から最後まで担当者がかかりきりだった業務を過去のデータや会社の基準を基に効率化できないかという期待がある」など、具体的な活用シーンを想起し業務改善イメージを持つ声が多数挙げられた。

 一方で「トップダウンでAI利用を指示されている」「経営よりAIの言葉が出てきており、一定の関心はあるものと思っている」など、経営からのトップダウンでAIへの取り組みが決まるケースもあるようで、本格始動する前に情報収集など検討準備を始める層も少なくないようだ。

 反対に「関心がない」と回答した層は「個人的には非常に興味があるが、会社のIT環境を管理する部署が興味を示さないため、会社としても関心を持たないと思う」「言葉は聞くが、経営陣が一切理解できていない」など個人的には関心はあるが、会社としてのAI活用はまだ先という声もあった。他にも「目先の仕事に追われて、新技術の動向にまで目が回っていない」「費用対効果を説明できないため静観中」「漠然としたイメージで万能感や恐怖感を持っているが、具体的にどう実用されていくかは分からないまま」など、会社がAI活用に乗り出すか費用対効果を含めメリットが感じられそうと判断するまでは、静観といった考えも多いようだ。


図3:AI活用に対する関心度合い

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