失敗事例
UPS背面の出力コンセントは、一見すると壁面にあるコンセントと同じに見える。手軽なところにコンセント穴があると思って掃除機のプラグを差してみたら、あれ、UPSが故障。
UPSは、電源トラブル時に一定の電圧、電流で給電するように設計されている。背面に並ぶコンセント穴は、確かに壁面にあるコンセントと同じ形状ではあるが、そこに保護する目的以外の製品のプラグを差して利用するのは御法度だ。
特に「突入電流」が発生する可能性のある電化製品(例えばドライヤーや掃除機など)をつなぐことは避けるべきだ。突入電流とは、電化製品のスイッチをオンにしたとき、瞬間的に定格電流よりも数倍大きい電流が流れる現象を差す。
「ドライヤーや掃除機なんてつながないよ……」と思っているかもしれないが、社員不在時にオフィスに出入りする清掃担当者が、UPSに掃除機をつないでトラブルを起こしたというケースは少なくないという。
また、レーザープリンタやレーザー複合機などをUPSに接続するのも厳禁だ。確かにオフィスにあってバックアップしたくなる機器だが、これらも使用時に突入電流が発生する機器である。
失敗事例
電源トラブル時、UPSは正常稼働……と思いきや、ネットワーク機器を接続するのを忘れていた。シャットダウン前にデータを送る必要があったのに……。
UPSにつなぐべき機器はPCやサーバだけではない。スイッチやルーター、ハブといったネットワーク機器は抜け落ちてしまいがちだ。電源トラブル時にUPSはしっかり稼働し、予定通りにサーバやPCをシャットダウンしようとするも、ネットワークがつながらないためにデータ送信がままならないという失敗事例も多い。
UPSで保護するのはデータを扱うサーバやPCだけではなく、なるべく停止してほしくないネットワーク機器も含めることを検討したい。最近では、ネット対応が当然となっている監視カメラなども電源を確保すべき対象となっている。
余談ではあるが、なるべく停止させたくないといえば、ATMや自動券売機、POSシステムなどといった機器が該当するだろう。これらの機器の電源保護としては、UPSと発電機を組み合わせ、停電が発生しても24〜27時間は給電可能な産業用UPSが使われるそうだ。
ノートPCをはじめ、タブレットやスマートフォンなど、バッテリーを内蔵しているデバイスを使う機会が増えてきた昨今。「電源トラブルが起きても、内蔵バッテリーに余力があれば使えるからUPSはいらないね」と思いがちだ。しかし、停電時にオフィスや自宅のネットワーク環境が動作しなかったら? LTE回線がつながるスマホならともかく、Wi-Fiのみで運用していたノートPCやタブレットは通信不能な文鎮と化すことになる。
そんなモバイル時代の電源トラブルを回避するのがAPCの新UPS「BGE50ML-JP」(図9)。何とこのUPS、リチウムイオン電池を採用したバッテリー部分を本体から取り出せるのだ。外出時にはモバイルバッテリーとして持ち歩き、在宅時には本体にはめ込んでIP電話、ADSLモデム、ワイヤレスルーターなどのネットワーク製品用のUPSとして使うという1台2役を狙う意欲的な製品だ。これなら停電時でもPCからインターネットへ接続できるようになるという。
モバイルバッテリーの容量11,400mAhで、iPhoneを約5回充電可能。最大出力125VA/50Wで、10W出力で約2.5時間の給電が可能となっている。
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