高齢化進展に伴って認知症患者が増加する中、兵庫県養父市は、日立の協力のもと認知機能の低下を早期発見する「ヘルスケアチェックサービス」を市民向けに提供している。
高齢化が進展する中で、認知症や、認知症予備軍とされる軽度認知障害(MCI)の患者数が増加している。
厚生労働省が2024年に発表した「認知症施策推進基本計画」によると、2022年時点での認知症の高齢者数は約443万人、MCIの高齢者数は559万人、合計で1000万人超と推計されている(注1)。2040年には認知症とMCIを患う人の合計は1200万人を超える見込みだ。
2024年時点では高齢者の3.6人に1人が認知症、あるいはMCIだと推計されており、「今や国民誰もが認知症になり得る」(厚生労働省)状況だ。
厚生労働省は認知症対策として早期発見や早期介入などを推奨しているが、一個人として具体的に何をすべきかというと、なかなか頭の痛いところだ。
兵庫県養父市(以下、養父市)と日立製作所(以下、日立)が提供するのが、AIなどのデジタル技術を活用した「ヘルスケアチェックサービス」だ。
同サービスは認知機能の確認と、孤立リスクの低減や自身を理解して改善を支援するさまざまな機能を、養父市民向けにWebサービスとして2025年6月20日から一部の機能を提供している。マイナンバーカードや、養父市が独自に発行する市民用IDカード「やっぷるカード」で個人認証する。
ヘルスケアチェックサービスの主な機能は次の3つだ。
これらの機能は、2023年度に養父市と日立が構築した「パーソナルデータ連携基盤」を使ってパーソナルデータを官民で連携することで実現した。パーソナルデータ連携基盤は、養父市が市民にひも付けたデータを管理しながらサービス間で連携させる基盤だ。
今後、養父市と日立は、ヘルスケアチェックサービスを活用して社会的処方を推進するとともに、個々の趣味や趣向、ライフスタイルに応じた社会参加に導くために提案する「AIリンクワーカー支援システム」とするべくブラッシュアップを検討するとしている。デジタル技術を活用したまちづくりを推進するために、養父市と同様の課題を抱える他自治体への展開もめざす方針だ。
(注1)認知症施策推進基本計画(厚生労働省、令和6年12月)
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