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「Geminiを使えばPowerShellの習得も楽勝」のはずだったが……:850th Lap

ある開発者は、Googleの生成AI「Gemini」を使ってラクしてPowerShellを習得しようと考えた。だが、その過程である課題にぶつかった。

» 2025年10月10日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 急速に進む生成AIの普及に伴い、「AIが人間の仕事を奪う」といった議論も多く聞かれる。特に、定型的かつ反復的な業務においては、AIの方が優れているとされる。生成AIの進化に加え、近ごろは自律的に状況を認識し、計画を立てて行動するAIエージェントも登場した。人間の介入を必要とせず、多様なタスクを遂行できるようになっている。

 こうして生成AIが進展する中、ある開発者はGoogleの生成AI「Gemini」を使って、PowerShellを効率的に習得しようと考えた。生成AIの支援による学習は一見順調のように思えたが……。

 生成AIやAIエージェントの普及により、一部の業務は既にAIによって代替されつつある。だが、高度な知識を必要とする分野においては、依然として人間の知見や判断力の方が信頼できるという見方も根強い。

 その一例として、MicrosoftおよびWindowsに特化したTechメディア「Windows Central」が2025年9月25日に記事を掲載した。執筆したのは、同メディアの編集長であるリチャード・ディヴァイン氏だ。

 同氏はPowerShellプロファイルの習得に取り組んでいた。Linuxの「.bashrc」に似ているという認識をもとに独学を始めたものの思うように進まず、Googleの生成AI「Gemini」の力を借りることにした。

 Geminiに質問を投げかけ、会話形式で情報を得ながら学習を進めるという方法は、彼にとって適していた。引用リンクから関連情報を深掘りでき、疑問点が生じたタイミングですぐに尋ねられる点も有効だったと述べている。

 だが、Geminiが生成したプロファイルには多くのエラーが含まれていたため、原因の特定と修正を繰り返す必要があった。この過程でディヴァイン氏は、関数の作成方法やその意図について理解を深めることができたと評価している。

 一方で、ディヴァイン氏はこのプロセスについて、もし自身がPowerShellの熟練者であればそもそも不要だったかもしれないと振り返っている。AIに意図を伝えても、人間の手なしに正確なコードを生成するのは難しく、AIはあくまで補助的な存在であることをあらためて認識したという。

 同氏は「AIが何をしているのかを理解する人間がいなければAIは正しいコードを出力できず、誤作動やトラブルを引き起こす恐れがある」と述べ、AIはプログラマーの代替ではなく、あくまで作業の効率化を支援するツールであるべきだと結論付けている。

 そして、最後にこう述べている。「私は今後もAIを活用して新しいスキル習得に挑み続ける。だが、大きな視点で見れば、AIはわれわれに取って代わる存在ではなく、共に協力していくためのものだ。少なくとも、われわれが品質を重視するならば」。

 確かにAIの能力は、私たちの仕事の一部を担うまでに進化している。だが、ディヴァイン氏の指摘の通り、少なくとも現時点において、AIがプログラミング分野で人間に完全に取って代わるには、まだ時間がかかるだろう。他の専門分野においても同様であり、人間が果たすべき役割や価値は依然として大きいと言える。


上司X

上司X: AIチャットbotを使って「PowerShellプロファイル」の作成について学習しようとした人が、「やっぱり専門家は必要だ」と再認識したという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 専門家にはAIも敵わないと。


上司X

上司X: そういうことだな。


ブラックピット

ブラックピット: ディヴァイン氏はPowerShellプロファイルについてはほとんど素人だったから、Geminiに頼りながら勉強したんですね。


上司X

上司X: ああ。自分が専門家だったら、もっと的確にAIに質問したり指示したりしてより適した結果を得られたはずだ、というのが感想のようだ。


ブラックピット

ブラックピット: 専門家やプログラマーが自分の仕事を効率化するためにAIを活用するということですかね。


上司X

上司X: それが最適であって、全くの素人が一からAIに仕事をさせようと思っても、なかなかうまくいかないものだ、というのがディヴァイン氏の主張なんだろう。


ブラックピット

ブラックピット: 確かに、特定の文章をAIに生成させたとして、その文章の文法だったり内容だったりは、実際のところホンモノの知識を持つ人が判断しないと正確かどうかは分かりませんものね。


上司X

上司X: そういうことだな。AIが人間の仕事を奪っていく、なんてことはよく言われることだけれども、やはりある程度の専門家は必要で、これからも全ての仕事をAIが担うことにはならないだろう。専門家として技術を極めて使うことで、より活用できるのだろうな。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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