Microsoft 365に含まれる主要アプリが2025年8月にかけて大幅アップデートされ、Copilot機能にも大きな変更が加わった。一部機能の無償化や最新AIモデル「GPT-5」の統合により、より幅広いユーザーがAI支援機能を利用しやすくなった。
2025年8月にかけて、「Microsoft 365」に含まれるアプリ群が段階的にアップデートされ、重要な機能改善が行われた。特に注目すべきは、「Microsoft 365 Copilot」(Copilot)の一部機能が無償化され、これまでライセンスが必要だった機能が全ユーザーに開放されたことだ。
数々のセミナーでMicrosoft 365の最新情報やナレッジを発信し続けている太田浩史氏(内田洋行 エンタープライズエンジニアリング事業部)の解説を基に、今回注目すべきアップデート内容を詳しく見ていく。
本稿は内田洋行主催のウェビナー「聞きたい!知りたい!おさえたい!今月のMicrosoft 365アップデート」の講演内容を編集部が再構成した。
前述した通り、今回のアップデートでは一部のCopilot機能が追加ライセンスなしで利用可能になるなど、無償化の動きが進んだ。ユーザーにとって、利用ハードルが下がることが期待される。加えて、最新AIモデルの導入やWebブラウザ機能の強化など、多方面にわたる改善が実装され、より多くのユーザーがCopilotを利用しやすくなるだろう。それぞれのアップデートについて一つ一つ詳しく解説する。
「Microsoft Word」や「Microsoft Excel」などに組み込まれたアシスタント機能で、文書作成や資料作成などを自動化する「作成」機能が、Copilotライセンスを持たないユーザーでも利用可能になった。これにより、画像やポスターのデザイン、インフォグラフィックなどのビジュアルコンテンツを手軽に作成できるようになった。ただし、動画作成機能については引き続きライセンスが必要であり、サービス全体の負荷状況によっては、画像生成など一部機能に制限がかかる場合がある。
WordやExcel、「Microsoft PowerPoint」や「Microsoft Outlook」などのMicrosoft 365アプリケーションに組み込まれているCopilotのチャット機能が、追加ライセンス不要で利用できるようになった。先行してOutlookで提供が始まった。長文メールの内容を整理し、タスクを表形式でまとめるといった実用的な使い方が可能だ。今後は、Word、Excel、PowerPointでも同様の機能が、8月から9月にかけて順次展開される予定だ。
OpenAIの最新言語モデル「GPT-5」が、Copilotチャットで利用可能になった。従来のモデルと比べて、より複雑なタスクを高い精度で実行できるようになり、自動的に推論しながら最適な処理を選択する能力が強化された。例えば、「Microsoft Forms」で実施したアンケートの自由記述欄をネガポジ分析し、その結果をExcelファイルに書き込むといった高度な処理も可能だ。GPT-5は自ら作業計画を立て、必要なプログラムコードを裏側で生成・実行できる。Copilotライセンスを持たないユーザーも利用可能だが、システムの負荷状況に応じて、一部機能に制限がかかる場合がある。
Webブラウザ「Microsoft Edge」のCopilot機能が強化された。Microsoft 365 Copilotライセンスを持つユーザーは、「職場モード」においても閲覧中のWebページを要約できるようになった。これまで「Webモード」でのみ利用可能だった要約機能が職場モードにも対応したことで、Webページの内容と社内情報を組み合わせた情報探索を同時に行えるようになった。
今回のアップデートにより、Copilotはさらに多くのユーザーにとって使いやすく、実用性の高いツールとなった。一部機能の無償化や最新AIモデルの導入、各種機能の強化により、業務効率化への期待が一層高まる。今後もユーザー視点を重視した継続的なアップデートが見込まれ、動向に注目していきたいところだ。
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