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「Excel×Copilot」活用術 データ集計、分析をもっとラクにする実践ガイド

「Microsoft Office」製品にAI機能が統合された「Microsoft 365 Copilot」。ExcelでCopilotを活用すると何ができるのか。実際にデータ分析に使って活用アイデアを探った。

» 2025年08月29日 07時00分 公開
[谷井将人キーマンズネット]

 最近の「Microsoft Office」製品には、リボンメニューに「Copilot」という項目があります。これは生成AIがOffice製品でやりたい作業を補助してくれる機能です。「Word」や「Excel」を使っていて分からないことがあるときに、Copilotに尋ねれば解決策を示してくれるかもしれません。

photo CopilotはExcelのリボンメニューから使える

 では、具体的にはどんな仕事をしてくれるのでしょうか。今回はExcelとCopilotを使うと実現できる活用アイデアを実践していきます。

Copilotの概要とプラン

 「Microsoft 365 Copilot」は「Microsoft 365」のビジネス向けサブスクリプションに追加できるアドオン機能で、別途契約が必要です(ユーザー当たり月額4497円〜)。契約するとMicrosoft 365に含まれるOfficeアプリなどでCopilot機能を利用できます。

 今回は筆者がプライベートで契約している個人向けの「Microsoft 365 Personal」に含まれる「Microsoft 365 Copilot アプリ」を使って、具体的な活用法を解説します。

CopilotがあればExcel関数が分からなくても仕事はできる

 Excelで特定の項目がテーブル内にいくつ含まれているかを調べたい場合は、COUNTIF関数を使用します。ただし、Excelに不慣れでCOUNTIF関数を知らない場合は、「Excel 項目 数える 関数」などとインターネットで検索し、調べながら試行錯誤することになります。

 これをCopilotに聞けば「件数を数えるには、次のような関数が使えます:=COUNTIF(テーマの範囲, "項目名") ピボットテーブルを使うと、テーマごとの集計や割合も簡単に表示できます」のように返してくれます。

 関数が知りたいわけではなく、「各項目は何件あるのか」という直接的な答えが欲しい場合は、項目を数えるよう指示すれば結果を出力します。

Excelの操作を忘れてしまったときに

 Excelを使っていると、ふと「あれ、カンマ区切りのデータってどうやって分割するんだっけ」「額面が3桁区切りになっているけど、一括処理でカンマを消してただの数値にしたい」のように、ちょっとした操作方法を忘れてしまうことがあります。特にExcelをたまにしか使わない場合は、こういった細かい部分が分からなくなりやすいでしょう。

 これも関数と同じく、操作方法を教えてもらうパターンと、自動処理してもらうパターンがあります。「方法を教えて」と聞けば、メニューのたどり方や関数を教えてくれます。今回は「売上シートのD列に入力された数値からカンマを削除して」と指示してみました。すると、少し時間はかかりますが、Copilotが直接セルの内容を編集してカンマを削除してくれました。

photo もともとD列には「12,000」のような表記の文字列が入っていた。データはChatGPTで生成(筆者の環境をキャプチャーしたもの、以下同)

 この操作では、Copilotが直接「12,000を12000に書き換える」という操作をしているわけではなく、Pythonコードを生成して実行することで12,000という表記を12000に書き換えています。前者の方法ではハルシネーションの影響で“テキトー”な数字が入力されてしまう恐れがあり、出力を信じられなくなる問題がありますが、CopilotはPythonの記述さえミスしなければその点では信頼できる処理を実現できます。

誰かが作った動かない関数を読み解かせる

 前任者など誰かから引き継いだExcelシートに、エラーがでて動かない謎の関数が書かれていることがあると思います。下手に触ると余計に状況が悪化して大変なファイルですね。これもCopilotで解決できる可能性があります。

 「#VALUE!」のようにエラーが出ているセルにマウスオーバーすると、流れ星のようなアイコンが表示されます。これはショートカットメニューを開くもので、これを押せば「数式列を提案する」「ピボットテーブルまたはグラフを使用して集計」などのメニューの他に「このエラーを説明して修正を提案してください」というショートカットのような項目が表示されます。

photo Copilotのメニュー

 今回は「ChatGPT」に生成させた、複雑でエラーが出たままの関数を読み解いてもらいました。しかし、これがどうにもうまくいきません。Copilotは修正案を出してくれますが、それを適用してもエラーが残り続けました。

 結局「この関数が何をしようとしているものなのか説明してください」「同じ機能を実現するスマートな関数をゼロから構築してください」と2回に分けて指示しました。

 今回読ませた複雑な関数は、実は「月間の売上(合計値)を算出する」というだけのことを回りくどく冗長に記述したものでした。結果、CopilotはシンプルなSUM関数を出力してくれました。

データをビジュアライズする

 Copilotはデータをグラフにすることもできます。とある商品の販売日と販売相手、販売額が記されたデータを指定して「売り上げの記録を顧客別のグラフにしてください」と指示すると、以下のような画像が出力されました。

photo 出力されたグラフ。あまり法則は見えてこない

 おそらく、Excelの操作に慣れた人間にとってはCopilotの出力を待つよりも自分で作業した方が数秒早いです。今回Copilotを触ってみた印象なのですが、全体的に動作が重く、使用感はいまひとつです。環境にもよる可能性もあるため、導入の際はテストとユーザーの聞き取りをして動作を確認しておきましょう。

データの分析と予測

 せっかくCopilotを契約するなら、手間のかかるデータ分析もAIに任せたいものです。先ほど使ったデータを基に、売上予測をしてもらいました。結果は以下の通りです。

photo データがシンプル過ぎて面白い分析はできない

 今回は過去の売り上げの平均値を計算して、それが今後も続くだろうというシンプルな予測をしてくれました。これならAIに予測してもらうまでもありません。CopilotはPythonコードを書いて高度な分析をする能力を備えているため、今回は用意したデータが雑過ぎたことが原因と考えるのが自然です。日付と販売先と金額しかなければさすがにできることは限られています。

 ここに天気や市場動向など売り上げを左右するだろうデータを統合して、ユーザーが自然言語でCopilotとやりとりすることで、より高度な分析ができると思われます。AIは全てを解決する魔法ではありません。

アンケートの分類

 Copilotの能力を最大限に生かすには、アンケート回答の分類作業が適しています。顧客の声を整理するために、自由記述のアンケート回答をジャンルごとに分けるとしましょう。1件1件内容を読んで「これは品質の話だから品質ラベルを付けよう」と判断していてはいくら時間があっても終わりません。

 この作業をCopilotに任せます。回答をまとめたテーブルを用意して「テーブル『列1』を参照して、その内容をCopilotで分析して、以下の5つのカテゴリーに分け、B列に結果を出力して。(1)データ基盤・品質(2)ツール・スキル不足(3)業務フロー・体制(4)分析プロセス・可視化(5)組織・文化・制約」と指示してみました。すると以下のようにラベルを付けてくれました。

photo B列にCopilotが判定したテーマを出力。回答はChatGPTで生成

 これは人間より圧倒的に早いですね。そもそもこういった操作は専門ツールで実行するのが簡単で早いのですが、Excelでできるというのが企業の実態から考えるとありがたいかもしれません。

 Microsoft 365 Copilotは、ChatGPTや「Cloude」などと比べても少し高い値段設定になっています。ですが、新規に導入したAIツールを使うという負担を増やさず、Excelの機能の一つとして使えるというのがCopilotの強みだと思います。Excelのリボンメニューからデータの並び替えができるのと同じように、Copilotを呼び出せるのが、Microsoftだからこそできる力業という印象です。

 できれば、もう少し動作の速度と安定感があればうれしいですね。

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