今、40年の時を経て、リチウムイオン電池に代わる「ある技術」が注目されている。かつて性能不足で主役を譲ったその電池が、“爆速充電”を可能にするポテンシャルがあると再浮上している。安全かつ高速な“古くて新しい電池”とは。
スマホやPC、ゲーム機など、生活に欠かせないバッテリーには幾つかの種類があるが、現在の主流はリチウムイオン電池だ。軽量・小型でありながら大容量という特性はモバイル機器との相性が良い。一方で、「熱に弱い」「物理的な衝撃で発火しやすい」といった課題も抱えている。相次ぐモバイルバッテリーの事故は、利便性と引き換えにしたこの電池の限界を示しているのかもしれない。
2026年に入り、リチウムイオン電池に代わる選択肢として「次世代の二次電池」が関心を集めている。実はこの技術、1980年代から研究されてきたものの、長らくリチウムイオン電池の陰に隠れ、主役の座を譲り続けてきた“40年眠っていた技術”でもある。かつては性能不足と見なされていたこの電池が、なぜ今、充電を高速化する技術として注目されているのか。
現在主流のリチウムイオン電池に代わる次世代の二次電池として、近年急速に注目を集めているのがナトリウムイオン電池だ。ナトリウムイオン電池自体は1980年代から研究が続けられてきた技術だ。
普及が進まなかった最大の理由は、リチウムイオン電池と比べて性能面で劣っていた点にある。特に課題とされてきたのが、充電速度の遅さとエネルギー密度の低さだ。エネルギー密度とは、電池の単位重量または単位体積当たりに蓄えられる電力量を示す指標であり、これが低いということは、小型・軽量で大容量の電池を実現しにくいことだ。
こうした弱点を克服する手掛かりとなる研究成果を、東京理科大学の研究チームが発表した。この研究について、科学ニュースメディア「Live Science」が2026年1月28日に報じた。研究チームは、ナトリウムイオン電池の性能を大きく向上させる新しい電極材料を開発した。
電池内部には陽極と陰極があり、リチウムイオン電池では陰極にグラファイト(黒鉛)が一般的に用いられている。だが、ナトリウムイオンはリチウムイオンよりもサイズが大きいため、グラファイト内部に入り込みにくく、これが充電速度を制限する要因となっていた。
研究チームが着目したのは、ハードカーボンと酸化アルミニウムを組み合わせた複合電極材料だ。この新しい電極は、ナトリウムイオンの出入りを妨げていたボトルネックを解消し、リチウムイオン電池と同等、あるいはそれ以上の高速充電を可能にするという。
高速な充放電が可能になれば、用途の幅は大きく広がる。記事では、電力網規模の蓄電システムや、再生可能エネルギーで発電した電力を貯蔵する大規模蓄電池など、瞬時に大量の電力を扱う分野での活用が期待されると指摘している。
さらに、ナトリウムを用いた電解質は安全性の向上にも寄与する。リチウムイオン電池は熱や急激な放電に弱く、条件次第では熱暴走を起こして発火や爆発に至る危険性がある。物理的な損傷によって同様の事故が起こるケースも、これまでたびたび報告されてきた。
高速充電が可能で、かつ熱暴走のリスクが低いナトリウムイオン電池が量産化されれば、安全性の高いバッテリーとしてEVなどへの採用が進む可能性もあるだろう。一方で、今回の研究ではエネルギー密度の大幅な改善までは示されていない。そのため当面は、大型蓄電システムや高い安全性が求められる用途にはナトリウムイオン電池、小型・軽量化が重要なスマートフォンやモバイルPCにはリチウムイオン電池、といった使い分けが進むと考えられる。
二次電池の進化は、テクノロジー全体の発展を加速させる重要な鍵だ。今回の研究成果を足掛かりに、実用的な製品が早期に市場へ投入されることが期待される。
上司X: 新たな二次電池、ナトリウムイオン電池が注目されている、という話だよ。
ブラックピット: とはいえ、別にナトリウムイオン電池自体は新しい技術じゃないですよね?
上司X: まあ、そうだけど。でもリチウムイオン電池に匹敵する充電速度になるというよ。
ブラックピット: 研究結果ではリチウムイオン電池より高速になるかも、という話じゃないですか。
上司X: ああ、期待できるな。
ブラックピット: ただ、小型軽量化、つまり、エネルギー密度をできるだけ高めることが課題のようです。
上司X: そのようだな。しかし、実は小型化を実現して製品化されているナトリウムイオン電池のモバイルバッテリーも登場してきている。意外に早めに小型化が進むのかもしれないよ。
ブラックピット: 期待したいものです……が、モバイルバッテリーじゃなくてスマホに内蔵されるぐらいになって初めて覇権を握ったと言えるのではないでしょうか!
上司X: 別に覇権を握る必要はないのでは?(笑) 安全な二次電池として安価に手に入るなら、俺はなんでも大歓迎だけどな。ともかく、充電池が発展するのは誰にとっても喜ばしいことだ。どんどん研究が進むことを願うばかりだよ。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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