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グループウェア導入失敗者も必見、社内SNSが盛り上がっている理由って何?IT導入完全ガイド(2/2 ページ)

» 2016年06月27日 10時00分 公開
[加山恵美キーマンズネット]
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手軽さ、安さ、使い勝手、コミュニケーションのバリエーション

 利用者側に定着しやすい土壌ができたことと併せて、アーキテクチャや料金体系の考え方が変化したことも社内SNSの追い風となっている。

 かつてのグループウェアは、オンプレミスで稼働させ、ライセンスは一括購入にサポート契約が定番だった。このため、導入や管理工数もあらかじめ見込んでおく必要があった。しかし今ではクラウドサービスのサブスクリプション(月額または年額)での利用が定着してきた。これまでグループウェアを導入するにはコストが釣り合わなかった少人数の中小企業や部門単位でも、手軽に利用できるようになってきた。

 クラウドサービスの場合は、スマートフォンなどを介して社外のネットワークからのアクセスがスムーズに行えるものがほとんどだ。専用アプリを提供しているものも少なくない。これにより、デスクワークではない職種であったり、一時的に休職していたりと、オフィスの外にいる人たちとのコミュニケーションが円滑に行える環境としても有効になってきている。社外で活動する営業部門とバックオフィス部門とが手軽にやりとりできる場があれば、帰社して会議を設定するといった時間の無駄を解消できる可能性がある。

 もう1つ、社内SNSの一部では、グループウェアと比較して特徴的な設計になっているものがある。それは、ツール内で組織の階層が比較的フラットであることだ。もちろん、グループ機能を使って組織を持ちこむこともできるが、組織の垣根を越えたコミュニケーションを気軽に取れることを特徴としているものもある。グループウェアの一部で実装されていたような、決裁権者の承認ワークフローなどとは切り離した運用となるため、場合によっては、一般社員が投稿した「小ネタ」やちょっとした提案に役職者がかわいらしい「スタンプ」で反応してくることもあるだろう。

 「ムダをなくしたい」という要望は恒常的にあったものの、過去、メール以外のコミュニケーションツールが定着しなかった。それにもかかわらず、いま社内SNSが注目を集める背景には、FacebookやLINEをモバイル端末で利用することが日常化し、ビジネスにも流入してきたこと、管理の手間が省けるクラウドサービスで導入のハードルが下がったことなどが挙げられる。

個人のLINEグループじゃ駄目な理由

 「もともと皆が使っているFacebookやLINEで社内コミュニケーションを済ませてはダメなの?」という疑問が残る。もちろん、実際に業務連絡にFacebookやLINEを使っている職場はあるだろう。しかし、この運用には幾つか不都合が発生するケースが考えられる。

 まず、プライベートでも利用しているサービスを使った運用では「誤送信」のリスクが大きい。社内SNS導入を決断した企業の声を聞くと、プライベートで付き合いがある友人に顧客の情報を誤送信する、といった”事故”は少なからず発生しているという。

 また、情報システム部門が管理できない場所でデータ共有などが行われるケースも考えられる。管理されたファイルサーバやオンラインストレージであれば権限管理やアクセスログなどをチェックできるが、管理外の外部サービスでは問題が発生したとしても情報収集すら難しい可能性がある。

 社内“限定”のSNSであることは、プライベートのコミュニケーションツールに業務の情報が入りこんでくることを嫌うユーザーにも受け入れやすい仕掛けだ。

 メールよりもカジュアルなコミュニケーションツールであれば、案件化していない課題や問題、情報を共有しやすい。社内SNSのようなコミュニケーションツールで顧客や取引相手とのやりとりやプロジェクトの進捗(しんちょく)などを共有できれば、アイデアを発展させたり、ビジネスに好循環を生む土壌を作っていったりできる可能性がある。在宅勤務や派遣先にいる社員など、オフィスにいないメンバーとの情報交換でも、場を集約できる社内SNSは有効だろう。次回はビジネスを想定した社内SNSの具体的な機能に注目する。

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