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なぜ注目されるのか? 超高速開発ツールの基礎知識IT導入完全ガイド(3/3 ページ)

» 2016年08月08日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]
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 超高速開発ツールは、大きく分けて2つの種類が存在している。1つはソースコードを自動生成するツール、そしてもう1つが実行環境を同時に提供し、サーバやクライアント側にある実行エンジンの上で専用のプログラムを動かすものだ。

ソースコード自動生成ツール

 ソースコードを自動的に生成してくれるツールは、基本的に開発を支援してくれるツールであり、アプリケーションを動かすためにはそれぞれのクライアントにruntimeの環境を個別に用意する必要がある。ただしJavaを例に挙げれば、基本的にはWebブラウザ環境で動作させることが可能であり、特別なruntimeを用意する必要はない。

 実際の開発工程を図で見ると、基本設計や詳細設計の一部、そして結合・システムテスト工程は従来と変わらないものの、プログラミングの工程が大きく削減できるようになる。また、ソースコードを自動生成するものでも、一部は手組みによる開発が必要なものもある。これは、ソースコードの「自動生成率」と呼ばれるもので表現されており、100%ソースコートが自動生成されそのまま業務アプリケーションとして利用できるものもあれば、80%は自動生成、残りは手組みによる開発が必要なものもある。この自動生成率はベンダーによって定義は異なるが、全てツール側で自動生成できるかどうかはしっかりと見ておきたい。

図4 超高速開発ツールによる開発プロセス 図4 超高速開発ツールによる開発プロセス(出典:キヤノンITソリューションズ)

実行エンジン型ツール

 GUIで設定するだけで業務アプリケーションが作成できるが、実際にはクライアント側に独自のruntimeエンジンをインストールし、そのうえで特別なプログラムが自動生成される。これが実行エンジン型の超高速開発ツールだ。つまり、単純な開発支援ツールではなく、実際の稼働環境でもツールに含まれている機能を利用することになる。

 Javaなど一般的なソースを生成するものもあれば、XMLファイルによるメタデータを生成し、それを実行エンジンが読み出すことで業務アプリケーションが稼働するといったものまでさまざまだ。一般的なソースコード自動生成ツールとは異なり、コンパイルする必要がないためにツール側での変更が即座に実行環境に反映され、サービスデリバリーがより迅速化できる。

図5 実行エンジン型の超高速開発ツール構成 図5 実行エンジン型の超高速開発ツール構成(出典:マジックソフトウェア・ジャパン)

 また、どんなアプリケーションを開発するのかによっても、必要な機能が異なることをしっかり認識しておくべきだ。アプリケーションの種類には、「SoE」や「SoR」と呼ばれるものがあり、それぞれ性質が異なっている。

 従業員が日常的に利用する業務アプリケーションやECサイト、ソーシャルメディアといった、人との関係性を強化していくアプリケーションがSoE(Systems of Engagement)、基幹業務システムなど記録のためのアプリケーションがSoR(Systems of Record)に位置付けられる。

 当然どちらのアプリケーション開発にも超高速開発ツールは利用できるが、例えばSoEについては、モバイルへの対応や頻繁なリリースおよび改修がSoRに比べて必要になるなど、必要な機能がそれぞれ異なることは注意しておくべきだろう。

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