データ量は増え続ける見込みなのに、いつまで既存ファイルサーバの拡張で耐えるつもり? いま、ファイルサーバ環境を見直すなら、拡張以外の選択肢も考えよう。
企業にとって「ファイルサーバ」は、ビジネスを遂行するうえでなくてはならない存在であるにもかかわらず、もはやコモディティ化したものと考え、特に注意を向けない傾向にあるかもしれない。しかしビジネスで取り扱うデータは増大を続ける一方であるし、またデータの保存場所/方法も多岐にわたるなど、情シスにとってその運用管理の負荷は地味ながら響いているはずだ。そこでこの古くて新しい課題であるファイルサーバの運用について、最新事情を踏まえ、あらためて目を向けてみることにした。
急速に進んだペーパーレス化やコンテンツのリッチ化に伴い、企業が保有するデータ量は増大を続けている。しかし、ストレージベンダーのベリタステクノロジーズの調査によると、企業が持つデータの約41%は過去3年間更新されていないという。
さらに、所有者不明などの「消していいかどうかも分からないデータ」も多数存在しているというのが多くの企業の実態のようだ。このように、年々増え続け、しかも眠っているものもあるデータのうちの多くは、OfficeドキュメントやPDF、画像といった、ビジネス・ドキュメント類であることだろう。そしてほとんどの企業においてこれらのビジネス・ドキュメントが保管されている場所は、社内にあるファイルサーバ上なのではないか。
ファイルサーバに保管されるデータ量が増加を続けた結果、企業はサーバやディスクの追加などの対応に常に追われることになる。このことは、ファイルサーバ運用では切り離せない課題であり、近年深刻度が増しているのだ。
このように企業、とりわけ情シス部門にとって大きな負担となっているにもかかわらず、古くから使い続けているだけに、ファイルサーバに目を向ける機会が少ないという企業も多いのではないか。実際、キーマンズネットが実施したファイルサーバに関する意識調査(2017年2月9日掲載予定)でも、回答者全体の約2割が不満を抱いているものの、半数以上もの回答者が、どちらかといえば現状に満足しており、今後もリプレースではなく、現状のシステムの拡張で対応していきたいと考えていることが明らかになっている。
多くの企業がファイルサーバを「現状維持で良し」とする理由としては、それが社内システムの中でも特にユーザー部門主導で利活用されていることが挙げられるだろう。社員個人や部門ごと拠点ごと、さらにはプロジェクトごとに保管されている膨大なビジネス・ドキュメント類を、使い慣れたものから別のシステムへと一斉に動かすとなれば、たとえ使い勝手が変わらないとしても社内のコンセンサスを得るのは一苦労となるのは目に見えている。しかもそうした苦労にもかかわらず、リプレースによる劇的なメリットが見えづらいとなれば、積極的な投資へと動かないのも当然といえるかもしれない。
しかし、ファイルサーバを社内に持ち続けると、今後も運用負荷が増し続けるのは明らかだ。それ故、情シスとしては従前の社内ファイルサーバに取って代わるビジネスドキュメントの保管方法を真剣に考えるべき時が来ている。
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