広く普及している無線LANだが、IT専任者が不在の中堅中小企業では管理面のハードルが高い場面もある。無線LANの運用負担を軽減する機能や仕組みを紹介しよう。
ノートPCの活用やタブレットなどスマートデバイスの業務利用が進むなか、ネットワークにアクセスするためのラストワンマイルに無線LANを利用する機会が増えている。だだし、中堅中小企業の中にはITの運用管理を行う専任者が不在のケースもあり、現場が利用したくても管理面でのハードルが高くて導入に至らないケースもある。
しかし最近では、無線LANに伴う日々の運用を大幅に軽減することが可能な機能が実装されるなど、以前に比べて無線LANの利用しやすい環境が整いつつある。そんな無線LANの運用負担を軽減するような機能や仕組みについて見ていきながら、中堅中小企業が無線LAN導入を考える際に考えるべき視点について紹介する。
2016年後半から無線LANの最新規格「802.11ac Wave2」に対応したチップセットが登場し、今では最新のアクセスポイント(以下、AP)であれば搭載されているものが多い。2016年中は802.11ac Wave1に比べて割高な部分もあったが、2017年に入って入手しやすい価格帯のものが登場し始めており、いよいよ802.11ac Wave2対応のAPが多く導入されていくことだろう。実際に利用するかしないかは別にして、多くのAPが「Wave2 Ready」の状態になるのは間違いないなく、その意味でも、2017年は802.11ac Wave2元年になるはずだ。
ちなみに、802.11ac Wave2の通信速度はおよそ1.7Gbpsとなる高速な無線Wi-Fiだ。ただし、現状端末側の対応が進んでいるのかというと、決してそんなことはない。実際に対応しているのはGalaxy S7 edgeなどの最新スマーフォンの一部だけであり、iPhoneなど日本のユーザーに広く普及しているスマートフォンでも現状は未対応の状況だ。実際に広く普及していくためには、端末側の対応が欠かせない。
もともと無線LANを運用管理する際には、複数のAPが一括管理できる無線LANコントローラーなどが便利だが、個別のアプライアンス製品を導入するためにコストの面や運用管理の点でも中堅中小企業にはなかなか導入が進まなかった。
しかし今では、AP内に無線LANコントローラー機能が内蔵されたモデルが各ベンダーより提供されており、多くの企業がコントローラー内蔵型のAPを選択している。1台のAPで管理できるAPの台数は製品によってまちまちだが、数十台を超える規模のAPが管理でき、複数フロアにまたがったAPの管理も内蔵型モデルで十分対応できるようになる。
今では多くの業務アプリケーションがクラウドサービスとして提供され、月額払いのサブスクリプションモデルで利用できるものが多いが、この動きは無線LANでも同様だ。従来はコントローラー内蔵APであればAP内の管理コンソールにログインして無線のコンフィグ設定や状況把握などの運用管理を行ってきたが、今ではクラウド上にある管理コンソールにログインし、APの運用管理を行うことができるものも出てきている。
最近では、APのみならずLANスイッチやセキュリティアプライアンスなどさまざまなネットワーク製品をクラウド上のコンソールで管理できるソリューションもあり、距離の離れた営業所などのネットワーク状況の把握も容易な環境が提供されている。中には、ネットワークカメラやIP電話などネットワークに接続されているさまざまなデバイスを一元管理できるようなソリューションも登場している。
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