IoTデータをどう扱えばよいか分からないと悩んだことはないだろうか。「KDDI IoTクラウド 〜データマーケット〜」は、企業のIoTデータとKDDIが持つ分析サービス、各種データ群を組みあわせ分析を行うサービスだ。
IoTを導入して、情報は集まるようになったものの、そのデータをどう扱えばよいか分からない、あるいは他のデータがあればもっと効率的な分析ができるのにと悩んだことはないだろうか。
KDDIは2017年5月17日、企業が持つIoTデータとKDDIが持つ分析サービス、そして各種データ群を組み合わせ、さまざまな分析が行える「KDDI IoTクラウド 〜データマーケット〜」の提供を開始すると発表した。
POSデータ、将来の人口推計などを分析ツールに投入し、自社のIoTによるさまざまなデータと掛け合わせることで、新たな課題やビジネスチャンスの発見を促す狙いだ。
このサービスは、「IoTデータをどう使えばいいか分からない」という企業の声に応えるものだ。最近では、徐々にIoTデバイスを展開し、そこからデータが集まりはじめたものの、データの使い道が分からないという企業も増えている。
KDDIは、1つの企業が収集したIoTデータだけでなく、KDDIが用意したデータ群と組みあわせることで、より効果的な分析が行える仕組みを提供する。将来的には企業が持つIoTデータを他社に売る、他社から買うなどの「マッチングサービス」も視野に入れ、サービスを展開する予定だ。
このサービスは、顧客が持つIoTセンサーから収集した業務データと、KDDI IoTクラウドデータマーケットが持つさまざまなデータ群を組みあわせ、分析サービスを使うことで、知見を得られるというものだ。
例えば小売業における店舗位置と売り上げ情報のデータを投入し、さらにKDDI IoTクラウドデータマーケットが持つ競合店舗情報や地域の世帯数、食料消費額、年収などのデータと組み合わせることで、「売り上げが見込めるはずの店舗を発見する」「商圏内のターゲットをより明確にできる」などの“気付き”を提供する。
提供されるデータのなかには、カスタマー・コミュニケーションズ提供による購買情報(ID-POSデータ)や、ナイトレイがSNS投稿から解析した訪日外国人の動向データ、WINフロンティアがストレスチェックアプリで収集した生態情報データが含まれる。これらの情報はデータ提供元がユーザーから同意の上取得し、個人を特定できない形式に加工したものだ。
KDDIは、これらのデータを分析するための3つのサービスを提供する。1つ目が直感的操作で地図上にデータを視覚化するセルフ分析ツール「mapDISCOERY」、2つ目がKDDIグループが提供するマーケティング支援サービス「Supership」、そして3つ目がアクセンチュアとの合弁会社で展開する「ARISE analytics」である。これらのデータ群および分析サービスは今後順次拡大していく予定だ。
記者発表において、KDDIソリューション事業本部ビジネスIoT推進本部ビジネスIoT企画部部長の原田圭悟氏は幾つかの想定できるユースケースを紹介した。
例えば、デジタルサイネージにおいて「誰が見たか」を測定することは難しい。そこで、KDDI IoTクラウド データマーケットに登録されている訪日外国人観光客の動向データを組み合わせれば、デジタルサイネージが設置された場所に多い観光客の国籍、年齢層などを把握することができ、どのような言語で展開すれば良いのかなどの気付きを得ることも可能だ。
また、バス事業者においても、自社が持つ運行データに加え、車両、走行挙動などのプローブデータ、将来人口予測などの情報、渋滞情報から、今後の運行スケジュールなどを調整することが考えられるという。ここにインバウンドニーズを組み合わせることも可能だ。
このサービスは「データを活用したいお客さまに分析する仕組みを提供し、協力してエコシステムを実現する」ものだと原田氏は述べる。「日本のIoTはコスト削減や業務効率化の文脈で語られることが多い。それだと本格運用に至らず、コンセプトだけで終わってしまう。IoTはお客さまのビジネスを変革させるようなものでなければ進まないと考える。お客さまのビジネスを変革させるようなモデルを作ることが、KDDI IoTクラウドデータマーケットのコンセプトだ」(原田氏)
KDDIは回線サービス、デバイス提供に加え、このサービスを、IoTとクラウドを軸としたSI領域における新規開拓事業として展開する。通信事業者としてのソリューションの幅を拡げる施策の1つだといえるだろう。
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