企業人事の課題を念頭に、次に人事管理システムに期待する役割について見ていこう。今後リプレースまたは新規で導入を予定している方に対し「導入に当たって重視する点」を聞いたところ「勤怠管理の効率化」41.4%、「勤務状況の可視化、管理機能」28.5%、「休暇等の申請業務効率化」22.0%、「セキュリティ対策」21.5%、「給与計算の効率化」19.4%、「組織変更の効率化」18.3%と続いた(図1)。
労働環境の改善を見据えながらも、まずは目下の課題である「人手不足」に対応すべく、勤怠管理や給与計算、申請業務などの人事管理業務全般の効率化が求められている。また多様な働き方を意識してか「勤務状況の可視化や管理機能」といった点も注目されているようだ。人事情報という性質上、情報漏えいなどセキュリティ面での対策強化も重視するポイントとして上位にランクインしていた。
最後に、今後「人事管理システムに期待する機能」について聞いたところ、「操作性・安定性」63.4%、「セキュリティ」50.5%、「システム間連携やカスタマイズの柔軟さ」37.6%、「個人のスキル管理・能力把握に役立つツールや機能」29.6%、「給与体系の管理・シミュレーション機能」24.2%、「サポート体制」23.7%と続く結果となった(図2)。
勤怠情報はほぼ全ての従業員が毎日入力するため、1位にランクインした「操作性・安定性」に問題があれば対応コストはすぐさま膨れ上がる。また前編で触れた通り業務効率化の観点から、勤怠・人事情報にひも付けて営業から在庫管理、財務会計などを統合的に管理したいというニーズもあり、システム関連携やカスタマイズの柔軟さにも全体の4割近くの票が集まっていた。
少子高齢化に伴う労働人口の減少により、慢性的な人出不足が喫緊の企業課題となっている昨今、多くの企業が従業員の生産性向上を目指し、労働環境の見直しや採用・育成活動の強化、スキルや職歴を生かした戦略的最適配置などの対策を講じている。またこれからは、AIやRPA(Robotic Process Automation=ロボティック・プロセス・オートメーション)といった技術を活用し、フロントおよびバックオフィス業務で自動化や効率化を図る取り組みが進んでいくとも予測される。その時どのような業務を人間が行い、どのような業務をAIやロボットに代行してもらうのが最も生産性が向上するのか。そう遠くない未来に直面するだろう“人材と活用技術の最適配置”についても判断ができるよう、今のうちから人事管理システムの活用を検討すべきと言えそうだ。
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