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今さら分かった! USBコネクターに裏表がある理由:519th Lap

1990年代終盤に登場した「USB」。PC周辺機器の接続インタフェースをほぼ統一した、ありがたい存在だ。同時にプラグアンドプレイも実現し、複数機器を接続するのも容易だ。最近はモバイル機器などに電力を供給するACアダプターのように使われることも少なくない。

» 2019年06月28日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 USBケーブルやUSBメモリをUSBポートに差し込もうとしたとき、上下が逆さまで差さらなかったという経験をした人は多いだろう。なぜUSBには裏表あるのだろうか。登場から20年を過ぎ、開発プロジェクトのリーダーがヒミツを明らかにしたという。一体どんな理由があったのか。

 USBになぜ裏表があるのか。USB開発プロジェクトチームのリーダーを務めたアジャイ・バット(Ajay Bhatt)氏が米NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)の公式サイトに掲載されたインタビュー記事で答えた。

 同氏は「USBの最大の問題点は裏表があること」と話し、開発チームが「50%の確率で差さらない現象」が起きることを把握していたフシをにおわせた。「ユーザーとしても開発者としても、ユーザーフレンドリーとは思えなかった。だが、USBに裏表があることは必然だった」。

 最大の理由はコストだ。バット氏は、表裏がない設計にすることも可能だったというが、そのためにはコネクターとポート内の配線や回路が2倍必要となることでコストの倍増も受け入れなければならなかった。USBコネクターおよびポートの価格が上がれば、周辺機器やPCの値段に上乗せされるわけだ。

 当時、何としてもUSBを普及させたかった開発チームは、低価格で提供することでPCメーカーや周辺機器メーカーにUSBを採用してもらいたかった。裏表ありの設計は、苦渋の選択だったのだ。

 低コストを目指した開発チームの努力が実ったのか、1998年にAppleがiMacにUSBポートを搭載してOSレベルでUSBを正式サポートした。Microsoftも1999年に発売されたWindows 98 Second Edition(通称98SE)で正式サポートした。その後のUSBの普及について、もはや言うまでもない。

 ちなみにバット氏をはじめとする開発チームの面々はUSBに関して特許料などを受け取っていない。特許を持っているのはIntelで、開発したのもIntelだ。同氏は「USBのような開発はチームスポーツと同じ。名声は個人でなくテクノロジー自体に与えられるべき」と言い切っている。なんと潔いことか。


上司X

上司X: USBのコネクターに表裏がある理由が判明したという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: なるほど、コストのためと。


上司X

上司X: 開発陣も「これってどうなの」と思いながらも開発して世に送り出したっていうのは面白い話じゃないか。


ブラックピット

ブラックピット: 不便さよりもコストの低さを優先した、だからこそ普及したと。納得しました。特に文句はありません。


上司X

上司X: 「これ差しにくいからもう使わないぜ!」というような人たちがいなくてよかったな。


ブラックピット

ブラックピット: 今ならネットでたたかれまくりかもしれない。


上司X

上司X: 昔はマウスもキーボードもプリンタも違う形状のコネクターで別々のポートにつないでいたと言っても今の若者たちは「冗談でしょ」ぐらいにしか思わないかもしれないな。


ブラックピット

ブラックピット: えっ、そうだったんですか……なーんて。


上司X

上司X: USBに裏表があってイライラすることもあったが、開発者たちの熱い思いがあったことを知ったらイライラ度が下がった気がするよ。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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