スマートフォンの文字入力方法はテンキーを使った「フリック入力」や「トグル入力」、ソフトウェアキーボードを使った「QWERTY入力」などがある。だが入力スピードなら物理的なキーボードの方が速いよね?
スマートフォンで文字を打つとき、人によってフリック入力やトグル入力など好みが分かれるところだが、どの方法にしても長短があって一概に「コレ」という決め手に欠ける。どの方法にしても画面をタッチするわけで、「ハードウェアキーボードの方が速く打てるよね」と思う人も少なくないのではないだろうか。
実際のところを真剣に研究した大学がある。既にスマホユーザーの文字入力スピードは、ハードウェアキーボードを使った文字入力速度に肉薄するというが、これって本当なのか?
フィンランドにあるアールト大学を中心とした研究チームが、実験のためにスマホ向けの文字入力テストサイトを公開すると世界中から3万7370人ものボランティア被験者が参加した。
そこでは約10分にわたって15本の文章(英文)が表示され、それと同じ文章を入力するのだ。入力方法は自由で、予測テキストやオートコンプリートなどを使ってもいい。とにかく日常と同じ状況で文字を入力してもらうのが研究チームの狙いだった。
その結果、スマートフォンにおける文字入力方式で最速だったのは、QWERTY入力を両手の親指2本でこなすスタイルだったという。このスタイルを使うユーザーは、平均で1分当たり38単語を入力できた。ミスタイプもわずか2.3%だった。
同様のテストは、デスクトップPCとハードウェアキーボードの組み合わせでも実行された。約16万8000人のボランティア被験者の平均入力スピードは1分当たり51単語だった。
数字だけを見るとスマホの方がやや遅いが、それでも25%程度。研究者は「ハードウェアキーボードとスマホでの文字入力に、いわれるほどの差はない」と分析した。
ちなみにサンプル数は少ないながら、スマホを使った文字入力の速度は10〜19歳の若者グループが最速で、1分当たり約40単語だった。20〜29歳のグループは1分当たり約37単語、30〜39歳のグループは約32単語、40〜49歳グループは約29単語、50〜50歳グループに至っては約26単語と、年齢を重ねるほどに遅くなる。
この結果に、研究チームのアンナ・マリア・フェイト博士は「10〜19歳の若者グループが生まれて初めて触れるキーボードが既にスマホのソフトウェアキーボードだからではないか」と分析する。またサンプル数が少ない理由として、若者グループがもはや「文字入力」という作業すらしない「Tik Tok世代」だからではないかと指摘する。文字よりも映像や音声で自分の情報を伝えることに慣れているというのだ。
上司X: スマホ入力のスピードがハードウェアキーボードと大差なくなってきているという話だよ。
ブラックピット: でも「若者に限る」って感じですよね。彼らからしてみれば「ハードウェアキーボードと比べて速いとか、遅いとかって何を言ってるんだ、オッサンたちは?」という気分じゃないでしょうか。
上司X: そういう傾向なのは否めないな。
ブラックピット: ところで検証サイトの「Typing Test」は試してみましたか? 今でも参加できるんですよ。
上司X: 今度やってみるよ。キミはどうだったんだ?
ブラックピット: 37単語でした。ミレニアル世代といい勝負という感じでしょうか。
上司X: 英文オンリーだと日本人は不利かもしれないな。
ブラックピット: 試してみると、予測テキストとオートコンプリートの威力はスゴイと感じます。iPhoneで試しましたが、単語の頭3文字ぐらいを入力するだけでほぼ間違いない単語の候補が出てきますからね。
上司X: なるほどな。タイピング自体の速度というより、補助機能を使いこなせるかってことか。いまだに「文字入力に慣れない」なんて言っている自分が情けないよ。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。