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IDCがエンタープライズインフラのトレンド分析、DXを支えるITインフラ投資で二極化進む

IDC Japanは「2021年 国内企業のエンタープライズインフラのシステムタイプ別トレンド分析」を発表した。同社は今回の調査結果を受けて、ITインフラ投資について阻害要因の解消が進んでいない企業と、解消した企業との二極化傾向が今後強まると分析している。

» 2021年03月30日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 IDC Japan(以下、IDC)は2021年3月22日「2021年 国内企業のエンタープライズインフラのシステムタイプ別トレンド分析」を発表した。国内企業の経営層や事業部門長、部課長を対象に実施した調査結果をまとめた。

 調査結果によると、ITインフラについて「最新の技術やサービスの継続的な提供能力をすでに備えている」と考えている企業の割合は2割強で、2020年2月に実施した前回調査と比べると若干増加した。

 「現在重点的に投資しているITインフラ」についてのに対しては「クラウド、ネットワーク、データセンターを対象とした統合管理システムの構築」を挙げた人の割合が最も高かった(複数回答)。次いで「運用管理の自動化によるIT要員の効率化/生産性向上」と「ビジネス成果に直結するKPIに基づくITインフラの継続的評価」が続いた。「今後2年以内に取り組む予定の新たな投資対象」で最も多かったのは「ビジネスアプリケーションに組み込まれたAI(人工知能)の活用」で、前述した3分野と「AIに対応したセキュアなエッジインフラの活用」がそれに続いた。

 一方、オンプレミスで稼働しているITインフラの調達形態をみると、「買い取り/リース」が約7割(複数回答)で「従量課金制」は約3割だった。従量課金制を利用する理由としては「ITインフラの運用管理の負荷の軽減」や「ITインフラ関連コストの最適化」「ITインフラの構築や更新の負荷の回避」と回答した割合が高かった。

 IDCは「新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、投資余力のある企業ではデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが加速した」と見ている。ビジネスをデジタル化している企業とできていない企業で収益性に大きく差が出る「デジタル優位」時代の到来が早まり、デジタル化の有無による競争環境の違いが常態化する。同社は、こうした環境下で企業が生き抜くにはDXを支えるITインフラが不可欠で、継続的に最新技術を活用できる環境を整えていく必要があると指摘する。

 ITインフラの刷新に当たっては、最大の阻害要因を「予算の制約」と回答した割合が突出して高かった。次いで多かった回答は「ITスタッフの過負荷/不足」と「最新技術に対するITスタッフの教育/知識不足」で、両者を合わせると4割弱となり「予算の制約」を上回った。この傾向は2020年の調査結果と大きく変わっていない。

 IDCは、ITインフラ投資を阻害する要因を解消できた企業とできない企業の二極化は今後も強まると予測している。

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