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» 2021年10月28日 10時00分 公開

iPaaSとは? 主要製品の棲み分けやメリット、運用のポイントを総整理

SaaSの利用が増え、システム間の連携は従来と比べて複雑さを増している。そのなかで注目される、クラウドベースのシステム連携ツール「iPaaS」の特徴と、導入時のチェックポイントなどについて、Boomiの「Boomi AtomSphere Platform」を例に解説する。

[指田昌夫, 溝田萌里,キーマンズネット]

iPaaSが注目される背景

 近年、「iPaaS」という用語を頻繁に耳にするようになった。iPaaSとは、オンプレミスやクラウドの別を問わず、複数のシステムの統合に必要な各種機能を提供するクラウドサービスを指す。

 iPaaSが注目される背景には、企業のSaaS活用が一般化し、業務プロセスの中でSaaSとSaaS、あるいは既存のオンプレミスシステムとSaaSを連携させたいというニーズの高まりがある。

 システム連携の動機は企業によって異なるが、中堅中小企業においては、新規ビジネスの前提環境として複数のSaaSを連携させるためにiPaaSを利用する傾向にある。一方大企業は、基幹系システムのデータとSaaSのデータを連携してタイムリーな事業運営やサービス開発につなげるニーズが高い。「バイモーダルIT」で言えば「モード1」と「モード2」をシームレスにつないでクラウドかオンプレミスかを意識せずに運用できる統一基盤が求められている。

 これらを実現するには、各システムからのデータ抽出、データプレパレーションと呼ばれる下準備、各種データのマッピングなどが必要だ。一般的に各システムからのデータをつなぎ込む部分を実装するだけでも相当なコストと工数がかかり、データ連携やシステム設計に深い知識を持つ人材が必要とされている。これに対し、iPaaSはシステム連携に必要なデータの抽出や加工の機能をクラウドサービスとして利用できること、さらにローコードでの開発が可能であることから、システム連携のコストや工数の削減、難しさの解消が期待される。

 これまでもデータ連携やシステム連携を実現するツールは提供されてきたが、それらとiPaaSではどのような違いがあるのか。iPaaSならではのメリットや導入する際にどのようなことに気を付ければよいのか。2020年にBoomiの日本カントリーマネージャーに就任した堀 和紀氏に聞いた。

iPaaSの特徴とメリット

 iPaaSは、オンプレミスのデータ連携を主軸としたETL、EAI、ESBなどのツールとの違いを問われることが多い。一般的に「SaaSの連携に適している」と説明されてきたが、近年は各ベンダーが得意分野を軸に機能を広げ、その境界は曖昧になっている。

 システム連携の市場では、「Zapier」(Zapier)や「Anyflow」(Anyflow)のようにあるイベントをきっかけにしてシステムをまたいだ定型の処理が実行されるもの、「AWS Glue ETL」(Amazon Web Services)のようにデータウェアハウスにデータを投入するなどの目的で、バッチ処理によってシステムのデータを抽出、加工、集約するもの、「Boomi AtomSphere TM Platform」(Boomi)や「Informatica Intelligent Cloud Services」(Informatica)に代表されるように、各システムに分散されるデータを連携するための機能をワンストップで提供するもの、「Anypoint Platform」(MuleSoft)のように、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現するために、各システムのビジネスプロセスをサービスの単位に分割し、バスを介して各種データやサービスを疎結合で連携させるESB領域に近いものもある。

 これらは広義のiPaaSに分類され、機能の重複もある。市場にはこれらiPaaSと呼ばれる製品が幾つもあるが、2021年の「Enterprise Integration Platform as a Serviceのガートナー・マジック・クアドラント」のリーダーとして評価されたベンダーに共通する特徴について、堀氏は「クラウドネイティブ」「ローコード開発」を主なポイントとして挙げる。

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