長引くコロナ禍の影響でテレワークは定着したように見えるが、中小企業の経営層は今後の働き方についてどう考えているのだろうか。
コロナ禍によって企業の働き方が大きく変化し、業界を問わずテレワークが普及した。通勤時の満員電車やオフィス内での感染を避ける目的で、自宅やサテライトオフィス、コワーキングスペースなどで仕事ができる環境を整備した企業も多い。
長期化するコロナ禍により、経営者、従業員側双方にテレワークが定着しつつあるが、感染症を予防するために導入したテレワークを今後も継続したいかどうかは企業によって異なるようだ。
オンラインレビューサービス「Digital.com」は2021年4月、米国の中小企業経営者1500人を対象にパンデミックが収束した後の業務と就労場所についての調査を実施した。
テレワークの継続について慎重な経営者も少なくなく、中には、出社を拒否した従業員に対して“クビにしたい”と考える経営者もいるという。
調査結果によると、回答者の30%はコロナ禍への対応として「全従業員に完全テレワークを許可した」と回答した。さらに18%は「出社/テレワークを全従業員が選択できるようにした」とし、同じく18%が「一部の従業員をリモートワークに切り替えた」と答えている。一方で、回答者の27%は出社での勤務を継続させたようだ。
では、コロナ禍の収束以後の勤務形態をどのように考えているのだろうか。
回答者の39%が、「将来的に全ての全従業員をフルタイムで現場に戻したい」と回答した。次いで20%は「従業員に出社かリモートか、または両方の組み合わせで勤務するかを選択させる」と回答した。「全社テレワークを恒久的に採用したい」としたのは回答者のわずか10%だった。経営層におけるテレワークの継続意欲は低いようだ。
また、39%は、「フルタイムで出勤することを拒否した従業員を解雇する」と回答した。
これまで、複数の大企業がパンデミック時に取り入れた働き方について、職場の柔軟性を高める計画であると公言してきた。しかしDigital.comの調査は、大企業とは大幅に異なる中小企業の視点を捉えている。
出勤が必要な理由については、半数近くの回答者が「ほとんどの職務は対面でしか実施できない」とした。さらに45%の回答者は、「クライアントとの取引上、対面のほうが便利だ」とし、40%が「従業員が現場にいるほうが生産的だ」と述べている。
しかし、従業員を恒久的に出社させるという決定は、従業員のニーズとうまく調和しない可能性がある。米国のPrudentialとMorning Consultによる3月の調査では、米国の労働者の68%が、パンデミック後はテレワークと出社勤務を組み合わせたハイブリッドモデルで仕事をしたいと望んでいることが分かった。
さらに、コロナ禍においてリモートで働いていた人の87%は、「今後も少なくとも週に1日はテレワークによる勤務を続けたい」と考えており、オフィスに再び戻ることにためらっている。リモート勤務の回答者の42%は、「雇用主が長期的にテレワークを許可しない場合、別の仕事を探す」と述べた。
法律事務所のLittler Mendelsonが発表した5月の調査によると、ハイブリッドワークに関して従業員と雇用者の間である程度の合意が見られる一方、雇用主はその働き方に疑念を持っていることが分かった。同調査によると、従業員の71%がハイブリッドワークを希望し、雇用主の55%が同モデルを提供すると答えているが、雇用主の大多数は、結果として生じる労働力管理の問題について少なくとも「中程度」または「ある程度」の懸念を抱いている。
今後、ハイブリッドワークを選択する経営層は、コロナ禍収束後に同モデルを実装するための複数の戦略を試行するだろう。HR Diveに以前提供された情報によると、部門ごとに別々の移行タイムラインを設定するといった施策が考えられる。従業員ハンドブックを更新して、テレワークまたはハイブリッドワークに適した従業員のポジションや、従業員の勤務時間帯について規定する必要もある。
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