休暇中にまで仕事のことを考える……。一見するとやる気旺盛な頑張り社員のように見えるが、実は退職予備軍だということが調査から分かった。
人材分析会社Visierの調査によると、正社員の約半数(44%)が休暇中に退職を考え、12%は休暇を利用して次の仕事を探しているという。
調査対象となった1000人の従業員の半数以上(56%)が「休暇中も仕事のことを考えている」と答えた。休暇中に仕事をするほぼ全ての従業員(95%)は、業務に後れを取らないため、あるいは安心するために「自分の意志でそうしている」と答えたという。
しかし、休暇中に仕事をすると、休暇後に退職する可能性が高くなる傾向があるという。休暇中に退職を考えた従業員のうち、休暇中も仕事と密接な関係を保った人は、そうでない人よりも退職する可能性が36%も高かった。
しかし、従業員が退職について考えてもすぐに行動に移せるものではない。調査によると、休暇後に退職する従業員の約3分の2(62%)が、退職までに3カ月もかかっていたことが分かった。
こうした傾向に対して、会社は何か打てる策はないのだろうか。
Visierは休暇から戻った従業員に対して、「滞在中のことを尋ねるなどをすることで、休暇後の退職を防げる可能性がある」と述べる。また、休暇中に仕事をすることが大きな要因だという結果を踏まえ、企業は従業員が休暇中に仕事をしない組織文化をつくり、燃え尽き症候群に陥らないように休暇中は休みに専念するよう勧めることが望ましい。これは、企業の考え方を大きく転換させることにもつながるだろう。Visierの調査によると、「有給休暇中も仕事をしなければならない」と答えた従業員のうち、72%が休暇中に退職することを考えたという。
株式管理プラットフォームで知られるCartaでは、従業員が休暇を取れるように最低15日間の休暇制度を設けていると、同社最高人事のスージー・ウォルター(Suzy Walther)氏は語った。同社は無制限の有給休暇を設けているが、ウォルター氏自身も積極的に有給休暇を取得し、チームメンバーにも取得を促しているという。
重要なのは、ミレニアル世代やZ世代、扶養家族がいる従業員など、休暇後に辞めるリスクが高い従業員に最新の注意を払うことだ。ミレニアル世代とZ世代は休暇後にやめる可能性が2〜5%も高く、X世代と団塊世代は9%低いという。これは、団塊世代は定年退職が近いことや、好きなキャリアに落ち着いている可能性があるためだとVisierはみている。
一方で、ミレニアル世代とZ世代は、まだキャリアと経験を積もうとし、若手社員として何か証明しなければならないと感じているかもしれない。そこは管理職がリードしてあげるといいだろう。ある上級管理職の話によると、従業員は管理職が定期的に休暇を取り、執拗(しつよう)に連絡を取らない様子をみれば、自分も同じように休んでもいいのだと分かるという。
管理職は、従業員の誰かが休暇を取っていないことに気が付いたら、なぜ休暇を取ることが重要なのかを説明すべきだ。また、調査では調査対象の43%が「休暇後に職場に戻ることに不安を感じている」と答えた。管理職が従業員の休暇中の不安を軽減するようサポートすることで、休暇後の後れを取り戻そうとするために発症する燃え尽き症候群を防ぐことができる。
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