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「出社組は昇進しやすい」 真偽は?

オフィス勤務の従業員は、在宅勤務の従業員と比較して昇進や昇給の機会が増えるのではないかと懸念されている。これは本当なのか。

» 2023年02月21日 08時00分 公開
[Caroline ColvinHR Dive]
HR Dive

 人材派遣業界を代表する業界団体であるAmerican Staffing Associationが2023年1月19日に発表したレポートによると、米国の成人の過半数が、オフィスで働く従業員は完全なテレワーカーよりボーナスや昇進、昇給に関して「競争上の優位性がある」と考えていることが明らかになった(注1)。同調査は、2022年第4四半期に、18歳以上の成人2019人(そのうち就労者は1140人)を対象に、今後の働き方に関する意識を聞いたものだ。

 就労者の48%がフルタイムでオフィス勤務をしていると回答し、28%がオフィス勤務と在宅勤務を合わせたハイブリッドワーク、24%が完全な在宅勤務だった。

 オフィス勤務の利点を挙げる回答者が多い一方で、44%が「テレワークで自由度が高まるなら給与が減っても構わない」と回答した。

 この調査における従業員の印象が示すように、出社している方がボーナスや昇進、昇給の機会を得やすいのだろうか。専門家の見解を示す。

「出社組は昇進しやすい」真偽は?

 このような通念の根拠について議論が続いている。一方で、ある調査会社が2022年12月に、上司との距離が近いと(特に科学、技術、工学、数学《STEM》分野で)創造性や革新性を呼び起こすと報告している。研究者はプレスリリースで、「上司と部下の距離が遠いと、仕事の調整やブレーンストーミング、創造が難しくなるのを目の当たりにした」(注2)と述べ、距離が近いことは「妨げになるどころか、むしろ助けになる」と強調している。

 それでも、多くの人事専門家は、物理的に近い人を遠くにいる人よりも優遇してしまう「職場の近接性バイアス」に警告を発している。「職場の近接性バイアス」という言葉は、テレワーカーに対する雇用者の偏見を表すものだ。リモートワーカーは昇進や昇給、その他のキャリア開発の機会が見送られると専門家は述べている。

 近接性バイアスは、過去の出来事よりも最近の出来事を好む認知バイアスである「最新性バイアス」につながることが多く、ネガティブなものであれポジティブなものであれ最近の交流が、従業員の仕事ぶりに対する直属の上司の全体的な認識を左右することがある。

 人事専門家によると、業績評価における最新性バイアスを減らすには、継続的にフィードバックを行う文化を醸成する(注3)ことが重要だという。中間レビューや四半期ごとの定例会議よりも、毎週または隔週で上司と話し合う機会を設けるべきだ。LifeLabsの学習開発モデレーターは2022年のウェビナーで、管理職はフィードバックを業績評価の時期まで持ち続ける傾向があると述べている。しかし、フィードバックの枠組みを強化し、建設的な批評の機会を増やすことによって、従業員はKPI(重要業績評価指標)を達成するための公正な機会を得られる。

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