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田辺三菱製薬が「UiPath」を導入、約7万時間削減を実現した「自走型」の体制

田辺三菱製薬は、自動化プラットフォーム「UiPath」を導入した。UiPath導入の成果は、約7万時間の削減効果を上げた背景に、“自走型”の体制があった。

» 2023年02月27日 11時53分 公開
[キーマンズネット]

 UiPathは2023年2月24日、田辺三菱製薬が自動化プラットフォーム「UiPath」を導入したと発表した。田辺三菱製薬はUiPathを活用することで、人手では不可能だった数々の価値ある業務を創出したとしている。

 新薬開発の難易度が年々高まり、「価値ある医薬品」をどのように継続的に創出するかが業界の課題となっている。そうした中、田辺三菱製薬はUiPathなどのデジタル技術を活用して、新薬の開発と業務生産性の改革を推進している。

現場の従業員が対象業務を発掘し自動化

 田辺三菱製薬は2019年に初めてUiPathを導入した。現在までに作成したワークフローは500を超え、自動化による時間創出効果は約7万時間に上る。さらに、これまで人手では実現できなかった業務の創出にも至った。その1例が、定年退職予定者への手続きなどに関する連絡業務だ。

 従来田辺三菱製薬では、定年退職予定者の手続きに関する連絡を、業務負荷の観点から半年に1回だけ実施していた。だが、退職者は毎月出るので、担当部署である人事部門には手続きなどに関する問い合わせが数多く寄せられ、かえって業務の負荷が高まっていたという。そこで、同社はUiPathを活用して、退職者への手続きに関する連絡を自動化し、毎月実施するようにした。その結果、人事部門の業務負荷が大きく減り、退職者の満足度も向上した。

 研究開発分野では、学会のWebサイトの情報が更新されていたら、担当者に電子メールを配信するワークフローや、研究者が作成した報告書から必要な情報を抽出し、当局への申請書類の作成を補助するワークフローなどを開発した。

 田辺三菱製薬ではRPAの推進事務局(CoE)を、田辺三菱製薬プロビジョンが担当した。田辺三菱製薬プロビジョンは、グループ会社全体の医薬品情報や経理、総務、人事などの管理業務を集約させた機能を持つ。

 田辺三菱製薬プロビジョンでは、UiPathの導入当初から、ノーコード/ローコード開発を見据えて、現場の従業員が対象業務を発掘し自動化する「自走型」体制を採用した。推進事務局では、独自の研修メニューを作成し、ワークフロー開発ができる人材だけでなく、どの業務をRPA化の対象にするかといったことを判断できる人材など幅広いデジタル人材の育成に努めたという。

 2021年4月からは、UiPathの協力を得て開発した、高度開発者育成に向けた新しい学習カリキュラムを運用し、より高度な開発者を育成している。今後は、シニア人材の学び直しの機会提供も視野に入れて、さらなるデジタル人材の育成と付加価値業務の創出に取り組む予定だ。

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