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「雨の日しかWi-Fiが使えない」 原因は意外なアレだった:755th Lap

雨の日は外出を控えがちになるため宅内のネットアクセスが増え、Wi-Fi通信が不安定になりやすい。これは容易に想像できることだが、ある家族は「雨の日にしかWi-Fiがつながらない」という不可思議な現象に悩まされていた。

» 2024年04月19日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 ネットワークにまつわる都市伝説の一つとして「雨の日はネットワークの通信速度が低下する」と言われている。ウソのようにも思えるが、これには幾つか根拠があるそうだ。電波は水に当たると吸収される性質があるため、雨の中での無線通信は低質化し、不安定になるという。

 そうした理由で「雨の日はネットが遅い」というのはおおむね事実らしいのだが、それとは逆に「雨の日にしかWi-Fiがつながらない」というナゾの現象が発生し、ある家族はこれに悩まされていた。調査によって、あるモノが原因となっていたことが分かった。

 米国のブロガーが組織したグループ「April Cools Club」は、世間がエイプリルフールで盛り上がる毎年4月1日に、ブログにいつもとは毛色が違う投稿をして彼らの存在をアピールしている。その投稿の内容は虚偽ではなく、ブログ読者に「意外さ」を味わってもらうためのものだ。

 ソフトウェアエンジニアのプレドラグ・グルエフスキ氏はApril Cools Clubの活動に賛同し、2024年4月1日に少し面白い自身の体験をブログに投稿した。それによれば、グルエフスキ氏は今から10年ほど前の大学生時代、夏休みに久しぶりに実家に帰ったところ、父から「うちのWi-Fiは雨の日しか使えない」と相談されたという。

 当時グルエフスキ氏はマサチューセッツ工科大学の学生で、彼の父親もまたエンジニアだった。父親はネットワークシステムの専門家で、さまざまな企業や組織から依頼を受けてネットワークの敷設に携わっていたという。もちろん、雨が無線通信の品質を低下させることは知っていた。そんな父親から「雨の日だけしかWi-Fiが使えない」と言われ、グルエフスキ氏は驚いた。

 その現象はその話を聞いた数週間前から起きていたが、多忙な日が続いていたため検証する時間が取れなかった。グルエフスキ氏は、休暇中の2週間は当時付き合い始めたばかりの彼女とネット越しで連絡を取り合う予定だったが、前述の事情からWi-Fiに接続できないため諦めざるを得なかった。グルエフスキ氏はこの現象を解明するために、調査に乗り出した。

 グルエフスキ氏が調査したところ、Wi-Fiに接続したときのパケット損失率は98%。ほぼ通信不可能の状況だ。ところが、雨が降り出すとパケット損失率は0%になり、ネット接続が可能になった。雨が止んで15分ほど経過すると、損失率は再びほぼ100%になった。数日間同じ現象を確認し、降雨とネット接続に関連性があることを確実視したグルエフスキ氏は「雨の日しか彼女と連絡できないのはイヤだ」とばかりに調査を継続した。

 グルエフスキ氏は自宅のネットワークを確認することにした。自宅から1ブロックほど離れた場所にある父のオフィスの商用ネットワーク設備に高指向性のWi-Fiブリッジを接続することで、自宅からインターネットに接続していた。グルエフスキ氏は、長距離のWi-Fi接続のために利用していたWi-Fiブリッジ機器に問題があるのではないかと推測した。設置して数年が経過していたが、機器は何の問題なく動作していた。グルエフスキ氏は自宅と父のオフィスを何度も行き来して調査を重ねるうちに、街の様子の変化に気付いたという。

 近所には新しい商店が増え、古い建物のペンキは塗り直されている。小さな苗木は大きな木に成長していた。つまり、自宅を取り巻く環境が大きく変化していたのだ。

 急いで自宅に戻ったグルエフスキ氏は、Wi-Fiブリッジのアンテナを確認した。すると、アンテナを設置した当時にはなかった隣家の木の枝が大きく張り出していることに気が付いた。この枝がWi-Fiブリッジの通信を遮断していたのだ。雨が降ると雨水が葉にたまって枝がたわむことでアンテナが露出し、正常な通信が可能になる。雨が止むとその逆で、再び枝が通信を邪魔していたのだった。

 グルエフスキ氏は、Wi-Fiブリッジの機器を旧型の802.11gデバイスから802.11nデバイスに交換した。ビームフォーミング機能のある802.11nデバイスであれば、多少の障害物があっても干渉を受けにくく安定した通信が可能になるからだ。アンテナ交換後、天候にかかわらず快適に通信できることを確認できた。

 この体験は、技術的な視点で問題を探るだけではなく、周囲の環境を地道に観察し、検証することの必要性を示す良い教訓となるだろう。


上司X

上司X: 雨の日だけつながるネットのナゾを解き明かしたエンジニアの話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 親父さんもネットワークエンジニアですもんね。まさか、そんな不思議な現象が起こるなんて思ってもみなかったことでしょう。


上司X

上司X: 「電波は雨に弱い」という認識とは逆に、雨で無線通信が回復するという不可思議現象が起こって混乱したのかもな。


ブラックピット

ブラックピット: そうかもしれないですねえ。


上司X

上司X: 結局は、いつの間にか成長していた木の枝が原因だったと。意外っちゃ意外だけどな。


ブラックピット

ブラックピット: 意外すぎですよ。デバイス類には問題がなかっただけに、原因が分かって良かったじゃないですか。しかも枝を切らずにデバイスの交換で対応したというのも良い話じゃないですか。


上司X

上司X: 休暇中に彼女と連絡を取りたい一心での究明ってのも面白い。


ブラックピット

ブラックピット: まったくですね。そういう一途なモチベーションがあると試行が冴え渡るというものです。われわれも何か強いモチベーションを持って業務に挑むべきなのですね、きっと。


上司X

上司X: お、なにか触発されたのかい? しかし、簡単にモチベーションを持てって言われてもなあ。エンジニアとして粛々と業務をこなすことこそが我がモチベーション、なーんてつまらないことを言ってる俺もだが、キミもすっかりモチベーション迷子みたいだな。お互い頑張っていこうじゃないか。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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