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AIを日常使いに 西尾市役所が取り組む「少人数対話型」生成AI研修の狙い

愛知県西尾市は、職員の生成AI活用を促す少人数研修を開始した。情報政策課長が年間約100回の講師役を担う。担当業務別の助言や受講後の相談、専用端末による成果物の作成や検証を支え、日常業務への定着と庁内での活用拡大を図る。

» 2026年08月24日 07時00分 公開
[後藤大地キーマンズネット]

 愛知県西尾市は、日常業務における職員の生成AI活用を推進するために、少人数型研修「生成AIイノベーション・ラボ」を開催している。発起人の木下課長(同市役所総合政策部情報政策課)が講師を務め、生成AIを知識として学ぶ研修から、職場で実際に使う段階へつなぐ狙いだ。

課長自ら講師になって研修実施 AI推進だけでなくIT部門にメリットも

 西尾市では、これまでにも数十人規模の集合研修を実施してきた。しかし、一般的な知識や汎用(はんよう)的な活用例を伝えられる一方、参加者ごとの担当業務まで踏み込むことは難しかった。研修内容を理解しても、自分の部署で使える業務が分からなければ実践につながりにくいとの課題があり、少人数で対話する形式を採用した。

 生成AIイノベーション・ラボは1回の参加者を2〜5人に絞り、年間約100回を予定している。基礎知識の習得から担当業務に応じた助言、受講後の相談まで支援する。

 ラボの前半では生成AIの仕組みやサービスの種類、個人情報や機密情報、著作権などの注意点を学ぶ。参加者の知識や利用状況に応じて説明内容を調整しており、普段AIをあまり使わない職員には、市が導入済みの生成AIツールを操作する機会も設ける。

 後半は参加者の担当業務を題材とし、生成AIを使える場面を木下課長と職員が考える。同じ部署の職員が参加する形式で、一人の案を別の業務へ広げる効果も狙う。少人数との対話を通じ、各職場に合う活用策を探す。

 木下課長は年間約100回の講師役を自ら担う。情報政策課は庁内のDXを支援する立場だが、各部署の現場で生じる課題を把握しにくい点が課題だった。研修で職員から直接話を聞くことで、管理職として必要な判断や調整に生かせる他、庁内全体の課題を把握して今後の情報政策に反映できる。情報政策課は少人数のため、取り組みによって担当職員の負担を増やさない狙いもある。

 研修は午後4時から約45分間実施する。西尾市は窓口の開庁時間短縮で生まれた午後4時以降を、残務処理だけでなく、学習や業務改善にも充てる考えだ。研修後には希望や業務内容に応じ、15〜30分ほど個別に助言する。

 受講後の支援も用意した。情報政策課が個別相談を受け、生成AIを使った成果物の作成や検証に利用できる専用端末を課内に設置した。ラボから生まれた案を情報政策課が形にした例を含め、各部署の活用事例を集めて共有し、庁内への展開を図る。

 参加者からは、「自分の担当業務に置き換えて考えることができた」「資料の構成案づくりに活用できることが分かった」「少人数だったため、普段の業務で困っていることを相談しやすかった」との声が寄せられたという。今後の活用についても、会議資料の構成案作成や文章の要約、問い合わせ内容の整理、アイデア出しなどの利用案が挙がっている。

 西尾市は、人口減少に伴い、将来は自治体職員の確保が難しくなるとみている。自治体業務が複雑化する中、限られた人員で市民サービスの質を維持し、改善するには従来の仕事の手法だけでは十分ではない。市は3年後、5年後を見据え、生成AIを一部職員だけが扱う技術ではなく、多くの職員が日常的に利用する状態を目指す。

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