オフラインでのデータ保護に欠かせない「テープバックアップ」とは

企業の貴重な情報資産を守るために必要なバックアップ手法の一つとして長年活用されてきたテープバックアップ。本稿では、“テープバックアップの今”を改めて振り返る。

バックアップに用いられる磁気テープとは

 1950年代に巨大なオープンリール型の商用データ記録磁気テープが登場したのを皮切りに、多くの企業においてシステムバックアップに利用されてきた磁気テープ。テープの上のフィルムに塗布された粉末状の磁性体を磁化し、さまざまな情報を記録する仕組みだ。つまり、「0」と「1」の配列で記録されるデジタル情報と同じように、磁性体をS極とN極に磁化し、S極とN極の配列によってテープにデータを記録するもので、この磁気テープが納められたカートリッジをドライブやオートローダーといった装置に挿入し、情報を記録する。

 企業がバックアップ用途に使ってきた磁気テープは、2000年代には多くの規格が市場に展開されていたことは、ご存じの方も多いだろう。エントリークラスでは、DDS(デジタルデータストレージ)/DAT(デジタルオーディオテープ)やDLT(デジタルリニアテープ)と呼ばれるものから、ミッドレンジにはAIT(アドバンスドインテリジェントテープ)やLTO(リニアテープオープン)、そしてエンタープライズクラスにはIBMやOracleなどがシステムとして提供しているTSファミリーやTシリーズといったベンダー固有の磁気テープカートリッジが存在する。

 しかし現在は、ミッドレンジを中心にエントリー領域でも利用されているLTOが中心的なオープンフォーマットの規格であり、「IBM 3592」TSシリーズやOracleのT10000シリーズといったハイエンドモデルの一部はいまだに残っているものの、バックアップに用いられる磁気テープの規格はLTOがスタンダードといっても過言ではない。

 なお、記録密度を高めていくためには磁性体の微粒子化を進めることが必要だが、従来利用されてきたMP(Metal Particle)磁性体でその限界を迎えたことから、今ではBaFe(Barium Ferrite:バリウム・フェライト)磁性体が主に利用されている。提供ベンダーの違いによる互換性を確保する意味でも、LTOの規格ではBaFe磁性体を利用することが明記されている状況だ。

磁気テープを用いたバックアップの重要性

 磁気テープを用いたバックアップは、すでに何十年もの歴史があるが、磁気テープ自体の存在を知らない世代が増えている。そもそもCDやDVDが登場する以前は、3.81mm幅のテープを用いて音楽を録音するカセットテープが一般家庭にも広がり、多くの人が“磁気テープで情報を記録する”ということになじみがあったはずだ。

 しかし、今ではCDやDVDはもとより、デジタルデータによる音源配信などを利用して音楽を楽しむことが増え、磁気テープそのものを目にする機会が少なくなったのが実態だろう。そのため、データ保護の仕組みとして磁気テープという選択肢があることを知らない方もいるのが現実だ。

バックアップにおける基本となる「3-2-1ルール」

 その意味でも、テープバックアップはもはや古いテクノロジーと思われがちだが、現実的には企業におけるデータ保護の手法として重要な位置付けであることは間違いない。それは、データ保護のためのバックアップ運用の基本的な考え方となっている「3-2-1ルール」が関係してくる。

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