「強制出社」イーロン・マスクの闇――TeslaとAirbnbの比較からテレワーク論争を考える

イーロン・マスク氏の「強制出社」命令は波紋を呼んだが、テレワークが困難を生じる場合があることも事実だ。企業がこの先テレワークに対してどのような方針を示すべきか。

 Teslaのイーロン・マスクCEOが「テレワークを希望する者は最低週40時間オフィスで働くか、さもなければ会社を去らなければならない」としたことで波紋を呼んだ。一方、Airbnbのブライアン・チェスキーCEOは、テレワークの問題点を挙げながらも、より柔軟な体制を取った。両CEOの発言を比較しながら、企業がこの先テレワークに対してどのような方針を示すべきかを考える。

最低週40時間オフィスで働くか、会社を去れ

 約2年間の試行錯誤と進化の結果、テレワークはもはやかつてのように珍しくはなくなった。テレワークは、希少な人材を獲得するための有用な特典であると同時に、文化を破壊するものだとも言われている。また、怠惰な社員が怠けるための言い訳であると同時に、未来の仕事のために生産性を高める必需品であるとも見なされている。

 数週間前、人事部門の管理職たちは、「この二律背反」が有名テクノロジー企業のCEOからの「似ているようで違う2通のメール」という形で展開されるのを目の当たりにした。

 5月31日、Teslaのイーロン・マスクCEOは、この2つのメッセージのうち、より議論を呼ぶと思われるものを送信した。Twitterで公開されたメールの画面キャプチャーによると、マスク氏は「テレワークはもはや認められない」という件名でTeslaの幹部に対してテレワークを全面的に禁止し、「テレワークを希望する者は最低週40時間オフィスで働くか、さもなければ会社を去らなければならない」と伝えたという。

テレワークを希望する者は最低週40時間オフィスで働くか、さもなければ会社を去らなければならない。これは工場労働者に求めるよりも少ない。これが不可能な特段例外的な貢献者がいる場合は、私が直接その例外を検討して承認する。さらに、ここで言う「オフィス」というのはテスラのメインオフィスでなければならず、例えばフリーモント工場の人事責任者でありながら別の州のオフィスで働くというように、自己業務と関連のない支社で働くことはあってはならない。(イーロン・マスク氏のメール内容)

 「これは工場労働者に求めるよりも少ない。これが不可能な特段例外的な貢献者がいる場合は、私が直接その例外を検討して承認する」とマスク氏は述べた。

 Twitterユーザーから、オフィスに来ることを拒む従業員にどう対応するか尋ねられたマスク氏は、自身のツイートでその強硬姿勢を強めた。

 ここ数カ月の間に、有名テクノロジー企業でテレワークについてなされた包括的な声明はこれだけではない。マスク氏のメールは、Airbnbのブライアン・チェスキーCEOが従業員に送ったテレワーク方針のメールからわずか1カ月余りで送られたという点でも注目された。

 チェスキー氏はテレワークに対してより好意的なアプローチをとっている。テレワークが不安を煽り、チームに「従業員が仕事を終えているかどうか分からない」という疑問を抱かせる可能性があることを認めている。同氏はまた「人々が集まって初めて生まれる有意義な人間的つながり」や「仕事と生活の間の緊張感」についても言及した。一方、チェスキー氏は、テレワーク中に行った仕事について、従業員を称賛することも忘れなかった。

 「私にとってはシンプルなことだ。皆さんを信頼している。柔軟性はチームメンバーを信頼したときにのみ機能する。あなた方はリモートでどれだけのことを成し遂げられるかを示してきた。この2年間でパンデミックを乗り切り、会社を一から立て直し、上場させ、サービス全体をアップグレードし、記録的な利益を生み出した。その全てをリモートで仕事をしながら達成した」とチェスキー氏は話す。

マスク氏の「オフィス強要」の決定的な問題点

 HR Diveの取材に応じた人事担当幹部は、2つのメッセージの評価として「信頼」をテーマに挙げている。情報技術サービス会社Ensonoの最高人事責任者を務めるメレディス・グラハム氏は、マスク氏のメールは採用の観点から近視眼的であるだけでなく、TeslaのCEOである同氏が「明らかにスタッフを信頼していない」ことの表れだと感じたと言う。

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