4時間でノーコードアプリ開発 DNPの「AppSheet」活用戦略
大日本印刷(以下、DNP)はGoogle Cloudと「AppSheet」ハッカソンを開催した。老舗の印刷会社であるDNPがハッカソンを開催した目的と、AppSheetへの評価を語る。
創立146年の歴史を持つ老舗の印刷会社DNPは、デジタル化の取り組みの一環としてGoogleのノーコードアプリ開発プラットフォーム「AppSheet」のハッカソンを開催し、4時間でアイデア出しからアプリ開発までを実施できたという。DNPの和田 剛氏(情報イノベーション事業部 ICTセンター システムプラットフォーム開発本部 DX基盤開発部 部長)が、ハッカソンの目的とAppSheetへの評価を語った。
ハッカソンでは4時間でアイデア出しからアプリ開発までを完遂
DNPは2018年4月、政府の「クラウド・バイ・デフォルト宣言」に則り、クラウド活用推進組織であるCCoE(Cloud Center of Excellence)を組織化し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を本格化させた。CCoEをリードしてきた和田氏(ITアーキテクト)は、新規ビジネスの立ち上げやクラウド・アジャイル開発の推進、データサイエンスの民主化などに取り組んできた。
同社はマルチクラウド環境で650以上のシステムを利用していて、CCoEはその学習や各種ガイドラインの策定、共通のアセット開発の他、人材育成にも力を入れている。クラウドを使うユーザー全体の中心に位置し、コミュニティハブとして活動しているという。
人材育成の一環として2020年から力を入れてきたのが、ハッカソンの開催だ。社内クラウド利用者の900人以上を対象に、技術的な学びだけではなく、カルチャーやマインドセット、リーダーシップなどのソフトスキルを意識したプログラムを提供しているという。
Google Cloudと共同で実施したハッカソンでは、2日間の日程でAppSheetを使ってアプリ開発に挑戦する他、Googleオフィスの食堂でのランチ体験やオフィスツアーを含めたGoogleの従業員との交流も実施した。Googleのカルチャーを学ぶことで、世界中の人々が使うサービスがどのようにして生まれるのか、イノベーションの源泉を探ること、さらに「Google検索」のように国籍や人種、年齢を選ばないサービスを提供するうえでのポイントを学ぶことが狙いだ。
「ハッカソンでは勉強という視点を忘れて、『楽しむ』というキーワードを大切にしている。楽しむことで参加者のモチベーションも上がり、より深い学びにつながる。従業員はハッカソンに対して参加しづらいイメージを持っているが、今回は時間をコンパクトにしてハードルを下げることと、Googleのカルチャーに触れる機会を押し出すことで、技術的な学びだけではないことをアピールした」(和田氏)
AppSheetハッカソンでは、4時間でアイデア出しからアプリ開発までを実施した。時間が限られていることもあり活発な議論が起こった。
和田氏は「たった4時間でアイデア出しからアプリ開発までをやり遂げられたことに驚いた。AppSheetはAI(人工知能)技術で画面を簡単にカスタマイズできること、GoogleマップやGmail、Googleカレンダーなどのサービスと容易に連携できるところもいい」と評価する。以下は実際に開発されたアプリの一例だ。
- 「Search For Someone」
困ったときに社内の誰に相談すればよいかを教えてくれるピープルサーチアプリ。
- 「YURURI Catch」
時間、予算、人数などいくつかの条件を与えることで、飲み会の店舗を検索できるアプリ。
- 「所在管理アプリ」
会社の備品・大型重機などの所在を管理するアプリ。ユーザーが使用時に写真を撮っておくと、GPS情報などから備品や重機がどこにあるかを確認できる。
ノーコード/ローコード市場を取り巻く環境
セッションでは、ノーコード/ローコード開発技術の市場を取り巻く環境についてGoogleの白川 遼氏(スペシャリスト カスタマーエンジニア)から説明があった。同氏は「2024年までに80%のテクノロジー製品、サービスが、ITの専門家でない人によって作成されると考えられる」と話す。
Gartnerは世界のノーコード/ローコード市場は、2027年までにCAGR(年平均成長率)32%、市場規模は8兆5000億円に、日本の市場規模は2027年までに1500億円程度に成長すると見込む。マーケット拡大の背景にはLOB(現場のフロントライン部門)とITリーダーのニーズが関係しているという。
「LOBの業務は多様化し、データは増加の一途をたどっている。営業やマーケティング、製造業や小売業の現場担当者は、自らデータにアクセスして、仕事をデジタル化していくことを望んでいる。一方、ITリーダーはLOB主導のデジタル化を推進しつつ、セキュリティやコンプライアンスを確保し、ガバナンスを効かせたいと考えている」(白川氏)
白川氏は、AppSheetで「データに接続」「アプリをカスタマイズ」「アプリをデプロイ」の3ステップを踏むだけで、現場のユーザーがコーディングなしでアプリを開発できるとして、上記のニーズに対応できると話す。
「AppSheetはカスタマイズの点で優れている。データソースを読み込んだ時点でAIがフォーマットを自動で提案するので、資産管理アプリなどは30分程度でゼロから構築できる。従来のアプリ開発のように要件定義から始まり、設計、開発、テスト……という工程を踏むことがないため、アイデアを思いついてから課題解決までの時間を大幅に短縮できる」(白川氏)
本記事は2022年7月20日に開催された「Google Workspace Summit」の講演「CCoEがリードする人材教育、なぜAppSheetハッカソンを開催したか」を基に編集部で再構成した。
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