セブン-イレブンのレガシーシステム刷新にRPAが不可欠な理由
セブン-イレブン・ジャパンは、レガシーシステムのクラウドシフトとRPAによる業務プロセス改革を並行して進めることで、スピーディーかつ低コストにDXを推進できるとしている。取り組みの一端を同社のシステム本部長が語った。
セブン-イレブン・ジャパンは、DX推進の柱としてクラウドシフトによる大規模なシステム刷新と、RPAなどのノーコードツールによる業務プロセス改革を推進している。これらを並行して進めることで、よりスピーディーで低コストに変革を進められるというが、一体どういうことか。セブン-イレブン・ジャパンの西村 出氏(執行役員 システム本部長)が取り組みの一端を講演で明かした。
システムのレガシー化を食い止めるためのRPA活用
セブン-イレブン・ジャパンは全国2万1353店舗を展開している。1日当たりの来客数は約2000万人だ。専用工場や共配センターから、各店舗に6000~7000台の専用トラックで品物を届ける。物流管理や販売管理、店舗管理、従業員管理、顧客対応支援、オーナーサポートなどで生じるデータは膨大な量にのぼる。
西村氏は「セブン-イレブン・ジャパンには変化への対応とお客さま目線という2つのDNAがある。新しいテクノロジーの力をそのDNAと掛け合わせて、新たなサービスや商品を提供し続けられる仕組みを考え、作り上げることが当社の使命だ」と話して、膨大なデータをあらゆる方向で活用することを目指すとした。
西村氏は経済産業省発のキーワードである「2025年の崖」についても触れた。
「店舗数が1万店を超えた2000年代からシステムが巨大化してきた。お客さまはスマホを活用するようになり、私たちのITサービスがレガシー化しはじめた」(西村氏)
同社は2025年の壁を乗り越えるために、2つの取組みを進めている。1つは、レガシーシステムのクラウドシフトだ。新しい基幹システムは、マイクロサービスアーキテクチャも取り入れながらリアルタイムにデータを分析できる基盤を目指す。
もう1つは、SaaSやRPA(Robotic Process Automation)、ノーコード開発ツールの活用だ。西村氏は「クラウドシフトによるシステムの刷新はコストも時間もかかる。そこで、システム化にそぐわない課題をRPAなどの開発工数が低いツールで解決することで、スピーディーかつ低コストコストにDXを推進できる」と話す。
RPA推進チームを発足、レガシーシステム刷新との相乗効果も
RPAを活用するにあたって、同社はシステム企画部内にRPA推進チームを組織した。同チームのミッションは、現場の課題や生産性向上のアイデアをヒアリングして、業務プロセスや帳票を整理した上でRPAを適用することだ。
RPAチームは発足から約1年半をかけて、RPAを社内に浸透させてきた。RPAによって人手による煩雑な作業を改善し、人的コストの削減と業務改善を実現した。その他、レガシーシステム刷新の取り組みとの相乗効果も出ている。RPAによってデータ入力の精度と効率が向上したことで、システム刷新後のデータ分析に必要なデータを蓄積しやすくなったため、DXがよりスピーディーに進むとしている。
同チームは、RPAの他にも業務アプリ開発のための「Microsoft PowerApps」、情報共有のための「Box」、CRM推進のための「Salesforce」、データのクラウド管理基盤としての「Google Cloud Platform」などの活用も進めている。これらを最適に組み合わせて「スピーディーでリーズナブルなDX」を部門横断的に推進する構えだ。
「特定ツールであらゆる課題を解決しようとするのではなく、推進チームでベストなソリューションを提供できる体制づくりに取り組んでいる」(西村氏)
AIを活用した変化対応と顧客目線のサービス高度化を目指す
今後は、これまでの事業経営や業務経験から得られた貴重なノウハウをデジタル技術によって承継する「ノウハウのデジタル化」にも取り組むという。
「これまでアナログで進めてきた業務の中には非常に貴重な知見が詰まっていることもある。そのノウハウを、徒弟制度のように1対1で伝えるのではなく、デジタル技術を使えって1000人、あるいは1万人に同時に伝達できるようにしたい。経験者の行動や判断をAI(人工知能)に学習させれば、そのノウハウは早期に多くの未経験者に広げられる。マーケットの需要に素早く反応して、お客さまが必要としているものをスピーディーに届けることにもつながるだろう。お客さまが、『ああそういえば確かにこれが欲しかった』と思えるものをそろえたい。時代の変化に対応しながらお客さま目線で新しい体験を創出することを目指している」(西村氏)
本稿は、2022年11月にUiPathが開催した「FORWARD 5」の一部講演を編集部で再構成した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
事例で学ぶ! 業務改善のヒント
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
2
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
3
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
4
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
5
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
6
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
7
「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
-
8
社員の「セキュリティ訓練」、他社はどの程度やっている? 気になる隣の実施状況
-
9
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
10
20年物の基幹システム刷新に、マクロミルがあえて「全てを変えない」と決めた理由
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー