老舗企業が語る、人手を増やさず事業を拡大する「地方企業のDXの戦い方」

経済産業省が選定した「DXセレクション2024」受賞企業が中堅・中小企業のDXの勘所を語った。

 静岡県浜松市の浜松倉庫は、人手不足が深刻化する物流、倉庫業界に一石を投じ、デジタル変革によって業務を合理化、効率化して事業の拡大につなげている。三重県伊勢市の老舗食堂「ゑびや」は、かつては食券と算盤(そろばん)を使う地域密着型店舗だった。しかし、現在ではデジタルシフトによって、売り上げと利益を飛躍的に向上させた。

 両社は経済産業省が公表する「DXセレクション」において、2024年3月に選出された32社のうち、グランプリを獲得した浜松倉庫の中山彰人氏(代表取締役社長)と、優良事例を獲得しているゑびや・EBILAB代表取締役の小田島春樹氏が両社の事例のポイントを紹介した。ファシリテーターは小泉耕二氏(IoTNEWS代表、アールジーン代表取締役)、経済産業省の栗原涼介氏(商務情報制作局)が務めた。

本記事は、2024年10月18日開催「内田洋行Business ITフェア」での講演を編集部で再構成した。

浜松倉庫の社長が語る、地方企業のDXの戦い方

 浜松倉庫は静岡県浜松市に本社を置き、117年の歴史がある老舗の企業だ。従業員のうち85%が正社員で、2005年から女性の現場業務への登用を積極的に進め、男女比率は1対1だという。「男性社会だったこの業界を改革したかった」と中山氏は語る。

浜松倉庫株式会社 代表取締役社長 中山彰人氏

 中山氏によれば、地方の物流・倉庫業界における人手不足は事業存続に関わる重大な課題だ。近年は従業員の採用がさらに難しくなり、その傾向は年々強まっている。そこで、2015年に少ない人員でも事業を拡大できる仕組みづくりに着手した。しかし、この時点で目指したのは、デジタル技術の導入ではなかった。

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