NotebookLMで議事録作成を95%削減、秋田、札幌市の「Google Workspace」活用の秘訣

人口減少や人手不足といった社会課題に直面する中、秋田県と札幌市はGoogle Workspaceと生成AIを活用し、行政DXを本格化させている。セキュリティと業務効率の両立を図りつつ、組織文化や働き方を刷新。全国の自治体に先駆けて進められるデジタル改革の最前線を追う。

 2023~2024年にかけて「Google Workspace」の自治体への導入は40%増加し、さらに2025年には223%と急速に拡大している。行政機関がGoogle Workspaceへの移行に積極的な理由は単なる利便性だけでなく、総務省が2016年に公表した「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂が背景にある。このガイドラインはSaaSなど外部クラウドサービスの活用を認め、業務効率化を促進する方向へと転換した。

 2016年に策定された「αモデル」では、自治体ネットワークを「マイナンバー利用事務系」「LGWAN(総合行政ネットワーク)接続系」「インターネット接続系」の三層に分離し、主要な業務端末はLGWAN接続系に配置する構成だった。堅牢(けんろう)なセキュリティを確保しながらも、SaaSを含むインターネットサービスの利用が制限され、業務の煩雑化を招いていた。

 その後の改訂で、LGWAN接続系端末を維持しつつその他の端末をインターネット接続系に移行し、画面転送でLGWAN業務システムを利用する「βモデル」が登場した。さらに文書管理や人事給与、財務会計などマイナンバー利用事務系を除く業務システムをインターネット接続系へ移行して効率化を図る「β’モデル」、LGWAN接続系端末からローカルブレークアウトによりSaaSアクセスを許可する「α’モデル」も2024年の改訂で新たに定義された。

 こうしたSaaS活用を前提としたモデルへの移行を望む自治体は増加しており、Google Workspaceの導入例は宮城県や徳島県、足利市、高崎市、下呂市、志摩市、舞鶴市、中津市、宮崎市など多数に上る。

 本稿では、都道府県として初めてGoogle Workspaceを全庁導入し「α’モデル」を運用開始した秋田県と、独自ネットワーク構築で「β’モデル」を実現した札幌市の事例を紹介する。

人口減少、高齢化、人手不足、三重苦を抱える秋田県庁の打ち手

秋田県庁 伊藤隼人氏

 秋田県は、都道府県として初めてGoogle Workspaceを全庁導入した自治体だ。2年前に「Chromebook」を280台導入し、Google WorkspaceのPoC(概念実証)を実施した上で5000ライセンスを契約した。また、生成AIの活用に向けて独自のガイドラインを策定し、「Gemini」や「NotebookLM」に加え、フルマネージド型生成AI開発プラットフォーム「Vertex AI」も導入した。

 これらの導入の背景について、秋田県の伊藤隼人氏(企画振興部デジタル制作推進課 主査)は、「将来的な職員数の減少への対応が喫緊の課題だった」と述べる。同県は人口減少と高齢化が全国でも特に深刻であり、限られた職員数でも質の高い行政サービスを維持するため、職員一人一人の生産性向上が急務だった。また、出張先や自宅からでも業務を継続できるテレワーク環境の整備も求められた。

 加えて、若手職員からは「コラボレーションツールを活用し、より効率的な業務連携と情報共有を図りたい」という要望もあった。これらの課題解決と現場のニーズを満たす最適なツール選定に際し、次の3点を条件とした。

  • 予算内で業務に必要な機能を網羅できること
  • 誰でも直感的に操作できるユーザビリティ
  • 行政機関に求められる堅牢なセキュリティとコンプライアンス対応

 これらの要件を満たすツールを選定するため、人事課とデジタル政策推進課、行政経営課、財産活用課の4部門が連携し、新規コラボレーションツールの導入に向けたプロジェクトチームを組織した。

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