「2026年は脱MySQLすべき」エンジニアたちが突然騒ぎ出したワケ:864th Lap
「定番中の定番」として長年親しまれてきたMySQL。だが現在、海外の技術コミュニティーでは「2026年にはMySQLの使用をやめるべきだ」という議論が広がっている。なぜ今このタイミングで、こうした議論が繰り広げられているのか。
1995年に登場したオープンソースのリレーショナルデータベース「MySQL」は、LAMPスタックの中核としてインターネットの発展を支え、長年にわたり数多くのWebサービスや業務システムで利用されてきた。現在はOracleの傘下にあるものの、GPL(General Public License)のもとで公開されており、オープンソースの定番のデータベースとして広く受け入れられている
だが、最近、海外の技術コミュニティーでは「2026年こそMySQLから脱却すべきだ」とする議論が広がり始めている。豊富な実績を誇るMySQLに、いま何が起きているのか。そしてなぜこのタイミングで「脱MySQL」が語られるようになったのか。
「2026年にはMySQLの使用をやめるべきだ」という議論が、ソーシャルメディア「Reddit」などを中心に繰り広げられている。そのきっかけとなったのが、オープンソースソフトウェアに関する情報や意見を発信するブログ「Optimized by Otto」に、2026年1月11日付で掲載された「Stop using MySQL in 2026, it is not true open source」という記事だ。執筆したのは、元Amazon Web ServicesでMySQL/MariaDB関連チームを率いた経験を持つテクノロジーコンサルタント、オットー・ケケライネン氏だ。
同氏はまず、「GitHub」の「mysql/mysql-server」リポジトリにおいて、2025年にコミット数が大幅に減少し、その傾向が2026年に入っても続いている点を指摘する。これは偶然ではなく、OracleがMySQLの開発を管理する一方で、実際の開発をほぼ非公開の形で進めているためだという。公開されているバグトラッカーやコントリビューションの仕組みが十分に機能しておらず、外部コントリビューターが正当に扱われていない現状を踏まえ、同氏は「MySQLはGPL v2で公開されてはいるものの、プロジェクトとしては真のオープンソースとは言えない」と批判している。
さらにケケライネン氏は、OracleによるMySQL買収から十数年が経過した現在、特に2022年以降は技術的な品質低下が目立つと指摘する。その例として、MySQL 8.0.29においてALTER TABLE関連のクラッシュやデータ破損が発生し、修正に約1年を要した点を挙げている。MySQL 8.0系は「evergreen」(常に更新)方針のもとでマイナーリリースが重ねられてきたが、次のメジャーバージョンに当たる8.1(プレビュー版)が登場したのは2023年と、前回のメジャーアップデートから実に6年ぶりだった。しかも、新機能は限定的で、目立ったパフォーマンス向上も見られなかったという。
その一方で、Oracleは実質的な新機能をクローズドソースかつクラウド専用の「HeatWave」に集中させ、MySQL本体は最低限の保守にとどめているとケケライネン氏は指摘する。
セキュリティ面でも懸念は大きい。2025年に公開されたMySQLのCVEは123件に上り、その多くは詳細な説明が不足していた。オープンソースであれば、本来は脆弱(ぜいじゃく)性の内容や修正コードが公開され、誰でも検証できるはずだが、MySQLではそれが十分に行われていないという。さらにケケライネン氏は、Oracleがオープンソース版のMySQLからクローズド版やHeatWaveへユーザーを誘導する戦略を取っている点にも触れ、MySQLがオープンソースとしての透明性を失っていると強く批判している。
こうした背景から、多くのMySQLユーザーは2010年代半ば以降、「MariaDB」への移行を進めてきたという。MariaDBは技術的な移行コストが低く、クライアントやSQLの大きな変更も不要であることから、「Oracle依存を断つための最も長期的な解決策」だと同氏は評価する。実際、2025年に公開されたMariaDBのCVEは8件にとどまっていた。
この他にも、ケケライネン氏は「PostgreSQL」や「Percona Server」「TiDB」などを移行先の候補として挙げ、「どの選択肢を選んだとしても、Oracleから離れることは多くのユーザーにとって有利に働く可能性が高い」と強いメッセージを残している。
2026年を迎えた今、全ての環境で即座にMySQLをやめるべきかどうかは、運用規模や要件によって判断が分かれるだろう。だが、オープンソースの理念を重視している場合や、MySQLの将来性に不安を感じているのであれば、ケケライネン氏の提言を参考に、移行を含めた選択肢を検討してみる価値はありそうだ。
上司X: 2026年にはMySQLと決別すべきだと主張している人がいる、という話だよ。
ブラックピット: あのMySQLですよね?
上司X: ああ、オープンソースのデータベースの定番であり、LAMPの中核ともされるMySQLだ。
ブラックピット: ケケライネン氏の主張を聞くに、確かにオープンソースとしての志は失われているようですね。
上司X: まあ、別段MySQL自体がダメだよ、と言っているわけではないんだけどな。
ブラックピット: まあ、実際のところ運用するのにそこまで問題はないというのが現状ですし。
上司X: ケケライネン氏が問いかけているのは「オープンソースとしての在り方」という感じかな。
ブラックピット: でもCVEがたくさんあったりその内容がよく分からなければ、そりゃ不信感は増すばかりでしょうねえ。あと、やっぱり時流に沿ったバージョンアップも必要でしょう。
上司X: そういう不満があるのだったら、必ずしもMySQLに固執する必要はない。移行先はたくさんあるよ、というのがケケライネン氏の主張なんだろう。「MySQLをすぐさまやめろ」という話なのではなく各自が考えてみるいいきっかけとしての提言だと、俺は捉えたよ。ブログを読んだ人にもそう考えてほしいものだね。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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