サントリーがテックタッチAIエージェント導入 「顧客の声」分析を高度化
サントリーホールディングスはテックタッチが提供するデータ戦略AIエージェント「AI Central Voice」を導入した。文脈理解で顧客からの質問を分類し、分析負荷を抑え、示唆抽出や可視化、対話照会、属人依存低減を図る。
サントリーホールディングスはVoC(顧客の声)分析業務に、テックタッチが提供するデータ戦略AIエージェント「AI Central Voice」を導入した。文章全体の流れを踏まえて意味を捉えるAIにより、従来手法では見えにくかった顧客の意図を整理し、戦略立案に役立つ洞察を得る基盤を整えた。
分析のAI標準化で「顧客の声」年間7.5万件を戦略資産へ
サントリーは顧客の声を経営資源の一つと位置付け、長年にわたり蓄積と活用を続けてきた。「お客様センター」には年間約7万5000件の意見や問い合わせが寄せられ、基幹システムに集約した上で商品開発、品質改善、リスク管理などに反映している。従来は単語単位の分類が中心で、同じ語でも内容が異なるケースの見極めに手間がかかっていた。
例として「糖質」に関する記述が挙げられている。成分の有無を尋ねる質問と、「糖質」が含まれる商品名に関する質問が同時に抽出され、担当者が一件ずつ読み分ける必要があった。こうした作業が分析負担を増やし、深い示唆を得るまでに時間を要していた。高度なAIで文章単位の意味を捉え、背景にある関心や状況を整理する仕組みが求められていた。
AI Central Voiceは、文章の前後関係や話題の流れを踏まえた分類を行う。カフェインに関する記述でも、妊娠中の摂取不安や子どもへの影響、睡眠との関係、過剰摂取への懸念など、関心の中身ごとに整理できる。単語の一致に頼らないため、内容理解の精度向上が見込める。加えて、サントリーが独自に築いてきた分類軸へ合わせた調整も実施した。環境志向やアレルギー対応、包材など、社内で重視する視点に沿ってAIを最適化し、従来は人手で行っていた仕分け作業の自動化をする。これによって処理速度と網羅性の両立を図る。
可視化面も強化した。前年との比較を含む積み上げ表示や、ブランド別・部門別の多角的な分析表示に対応する。AIチャット機能である「Ask AI」を通じ、「今月のキャンペーンへの反応は」といった自然文での質問に対し、数値情報と具体的な顧客コメントを組み合わせた回答を提示する。
もう一つの狙いが、分析業務の標準化だ。これまで経験豊富な担当者の読解力に依存しがちだった作業を、AIと共通基盤で再現できる形に置き換える。担当間のばらつきを抑え、組織全体の分析力底上げにつなげる考えだ。
今後サントリーは、本基盤を活用し、商品開発や品質改善、リスク対応に関わる判断精度の向上を図る。週次レポート作成の自動化や、問題の兆候を早期に察知する仕組みの構築も視野に入れる。
サントリーホールディングスお客様志向経営推進部の大蝶氏は、詳細な経緯や背景を含む声が集まる窓口業務では文脈把握が欠かせないと説明する。従来人手に頼っていた読み取りを瞬時に行える点を評価し、顧客体験価値向上への貢献に期待を示した。加えて、自社基準への対応姿勢や将来像を見据えた提案力も導入の決め手の一つになったと述べている。
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