「人が頑張る改善」をやめたオムロンが稼働ロス30%減、生産数16%増を遂げた秘訣

散在するデータの集計を自動化し、現場の改善提案は1年で250件へ。オムロンが実証した、現場主導のDXを根づかせる要点とは。

 基幹システムの刷新や全社的な生成AIの導入といった経営DXは着実に進む一方で、現場に残る非効率な手作業はなかなか解消されない。こうした「現場DX」の停滞は、多くの企業に共通する悩みだ。

 オムロンの金子陽平氏(データソリューション事業本部データ活用ソリューション事業部 戦略統括部長)は、同社における現場DXの実践を基に、現場のDXを阻む3つの壁と、「DXはなぜ現場で止まるのか?」という課題の乗り越え方を語った。

「一部の詳しい人への依存」が、現場改善を止める理由

 金子氏はまず、経営DXと現場DXの違いを整理した。経営DXは、基幹システムの導入や全社的なダッシュボード、生成AIの活用など、経営判断による大きな投資で成果を生み出す取り組みを指す。意義は大きく、効果も見込める領域だ。

 一方で現場には、基幹システムではカバーしきれない固有業務の手作業が残りやすい。例えば、FAXで届いた発注書を転記する紙運用や、継ぎ足しで使われ属人化した「Microsoft Excel」、人事システムから抜き出した情報を事業部へ展開する際のシステム間の手入力などだ。

 ERPを中心に各部門へ重要なシステムが入っても、その隙間に固有業務が残る。購買管理システムを導入しても発注書は現場が手作業でExcelを作り、会計システムを入れても入金引き当ては銀行のデータを手作業で処理している。こうした現場固有の業務をITスキルで自ら自動化し、業務改善を図る取り組みが現場DXだ。

経営DXと現場DX(出典:講演時の投影資料)

現場DXを阻む「3つの壁」とは

 なぜ良いツールやサービスが次々と登場する中でも現場DXは進まないのか。金子氏は、その要因は大きく3つに集約されると説明する。

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