AIを使っても「売上増」は2割以下? 優秀なAIを「無能な部下」にする企業の共通点

資料作成や情報収集など、生成AIによる業務効率化は多くの企業に浸透しつつある。しかし、AIへの投資を「売り上げ拡大」という本来のゴールへとつなげている企業はわずかだ。AIから事業成長に直結する回答を引き出すには何が必要なのか。その質を大きく左右するデータ整備の核心をエキスパートが解説した。

 ビジネスの現場で生成AIの導入が進む中、「調べ物や資料作成など、日常業務の効率化にとどまっている」と悩む担当者はいまだ多い。経営層が求める「売り上げ拡大」や「事業成長」といった成果につなげるには、AIが判断材料とする「自社固有の情報」(企業独自データ)が整備され、参照できる状態になっていることが不可欠だ。

 では、企業独自データはどのように整備し、AI活用につなげればよいのか。Sansanの藤田祐樹氏(Sansan事業部SMB第2営業部 シニアマネジャー)がその具体的なアプローチを示した。

「会社の稼ぎ頭」にするためのAIの使い方

 藤田氏は初めに、企業のAI活用の現状を述べた。Sansanが2026年2月に実施した「企業のAI活用に関する実態調査」によれば、AIツールの導入による具体的な成果として約6割が「調べ物や情報収集が効率化された」と回答するなど、AIによる業務効率化はすでに当たり前となりつつある。だが一方で、「受注率/単価が向上し、売り上げにつながった」と実感している企業は18.9%にとどまり、全体の2割にも満たない。

Sansan「企業のAI活用に関する実態調査」具体的な成果の回答内容(提供:Sansan)

 AI導入では、ツール利用料の他にデータ整備やシステム連携、運用体制の構築など、さまざまな費用が発生する。それらの投資を回収するためにも、「便利になった」だけで終わらせず、営業戦略や意思決定を高度化し、事業成果にどれだけ寄与できるかをAI投資のゴールとしなければならない。だが、藤田氏は、その前には解決すべき課題が残されているとの見方を示す。

 藤田氏は、「ゴールへの到達を阻むのは、AIの精度や使い方などの問題ではありません。実はその手前に課題があります。それは『AIが的確な回答を導き出すために必要なデータが整備されていない』という問題です」と語る。

AIの回答の具体性を左右する「2つのデータ」

 AI活用を売り上げの拡大につなげるためには、どのようなデータが必要なのだろうか。生成AIが回答を導き出すために読み込ませるデータは、大きく2種類に分けられる。

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