愛提興産の佐藤さんと学ぶ! 明日からできる中小企業のセキュリティ再建計画

「VPNは更新した」で、その次は? Excelから始める現実的な脆弱性対策

「脆弱性対策」と聞くと、専門的な開発知識や高度なツールが必要だと思いがちだ。だが、中小企業がまず取り組むべきことは、自社にある機器やソフトウェアを正しく把握し、更新漏れを防ぐ仕組みを作ることだ。

 専任情シス不在の中小企業で孤軍奮闘する総務部の佐藤さん。「脆弱(ぜいじゃく)性対策」という言葉に難しさを感じながらも、佐藤さんは、自社で利用している機器やソフトウェアの現状を正確に把握することこそが、セキュリティ対策の第一歩であると気付く。高度な開発知識が必要だと思い込んでいた脆弱性対策。その第一歩は、実は社内に存在するIT資産を正確に把握する、全社規模の“持ち物検査”だった。

 今回は、高度なITスキルや専門的な開発知識が不可欠と思われがちな脆弱性対策について、その本質を整理する。併せて、人的リソースが不足しがちな中小企業でも取り組める、IT資産の棚卸しやシステム更新管理の具体的な進め方を紹介する。

本連載について

架空の中小企業「愛提興産(あいていこうさん)」を舞台に、情報システム担当を兼務する総務部係長・佐藤さんの視点から、限られた人員でも実践できる現実的なセキュリティ対策の立て直しを考える。

VPNの先にある膨大な機器……兼務情シスが震えた実態

 「脆弱性対策、ちゃんとやっておいてくださいね」──取引先との打ち合わせの最後に、サラッと言われた一言が頭から離れなかった。席に戻った佐藤は、何となくその言葉を検索してみる。すると出てきたのは、見慣れない英単語や専門用語の数々だった……。

 「脆弱性対策って、開発の知識が必要なのかな? これはプログラマーの仕事なのでは?」

 思わず画面にツッコミを入れる佐藤。愛提興産に開発部門はない。業務システムは市販のパッケージ製品やクラウドサービスを利用しており、他にはネットワーク機器や従業員が使うPCとスマートフォンがあるだけだ。システム開発のような仕事とは無縁だ。

 さらに調べていると、「脆弱性とはソフトウェアや機器の“欠陥”であり、それを直すにはベンダーが提供する修正プログラム(パッチ)を当てる必要がある」という説明が目に入った。

 「なるほど。この間、次世代ファイアウォールのVPN機能の脆弱性のニュースを見て、慌ててアップデートしたアレのことか」

 佐藤は少し前に社内ネットワークの入り口であるVPNの設定を見直し、OSを最新版にアップデートした苦労を思い出していた。

 「……ん? ちょっと待てよ。VPN機能は最新の状態にしたけど、うちの会社にある他の機器やソフトって、今どうなってるんだ?」

 すぐに思い付くだけでも、ファイルサーバとして使っているNASや無線LANルーター、従業員のPCに入っているOSや業務ソフトなどが思い浮かぶ。これらのメーカーや型番、バージョン、最後にいつアップデートしたかを、全て把握している者など誰もいないだろう。

 「つまり、うちの会社が持っているものをちゃんと把握して、全てを最新の状態にしておけってことか」

 思っていたよりもずっと現実的で、なおかつ途方もない作業に思えた。

 「これは全社規模の“持ち物検査”だな」

 誰が何を持っているのかを把握して、危ういものがあれば対処する──理屈はシンプルだが、実際にやるには社内の機器やソフトを全て調べ上げる必要があり、骨が折れそうだ。

※イメージ画像(Nano Bananaで生成)

 「でも、やらないとまずいよね、これは……」

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兼任情シス・佐藤さんと学ぶ「明日からできるセキュリティ再建計画」

専任のセキュリティ担当者がおらず、日々の業務に追われながら兼務で対策を任されている中小企業の担当者は、常に不安と戦っている。とある中小企業「愛提興産」(あいていこうさん)の佐藤さんを主人公に、予算やスキルの壁に悩みながらも、前向きにセキュリティ体制を立て直していくプロセスを描く。

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