ユナイテッドアローズ「売れた理由が分からない」 爆速開発の独自AIでどう解消?

店舗では「売れた理由」が分かっていても、その気付きは本部まで届かない。週報では拾い切れない現場の知見をどう生かすのか。ユナイテッドアローズは、課題解決のためAIエージェントの独自開発に乗り出した。

(出典:ユナイテッドアローズの企業サイトより)

 アパレル店舗では、接客の手応えや売り場の変化など、日々さまざまな気付きがある。だが、こうした現場の知見を本部へ的確に共有する手段は限られており、多忙な店長が作成する週報だけでは、情報が断片的になりがちだ。同様の問題を抱えていたユナイテッドアローズは、解決手段として現場の声をAIでデータ化する独自のAIエージェントの開発に乗り出した。

売り上げにつながった「なぜ」が分からない 業界の構造的課題

 例えば、期間限定のコラボTシャツを手に取った顧客に対し、店舗スタッフが「このパンツと合わせるとおすすめです」とコーディネートを提案したとする。こうした接客によって、限定商品だけでなく関連商品も購入され、売り上げにつながることは珍しくない。売り上げを押し上げる要因は、こうした現場スタッフの判断や気付きに支えられている。

 だが、アパレル業界では店長が日々の業務に追われることも多い。本部へ状況を伝えるために週報を作成する頃には、なぜ購買につながったのか、その要因や現場での気付きが曖昧(あいまい)になってしまうケースもある。本来であれば、売り上げにつながった「なぜ」を定性データとして記録し、本部の意思決定に生かしたい。しかし、日々の業務に追われる中で1週間を振り返る負担は大きく、現場で得られた貴重な気付きは十分に共有されないまま埋もれてしまう。

 では、現場の声を効率的に収集し、組織全体で活用するためには何が必要なのか。

 店舗側では、日々の「なぜ」を短時間で記録できる仕組みや、文章化の負担を軽減しながら考えを整理できるサポート、売り上げデータと組み合わせた客観的な振り返りが求められている。一方、本部側では、売り上げの背景にある要因を把握し、多くの店舗から集まる情報の中から重要な気付きを効率的に抽出するとともに、成果につながった取り組みを他店舗へ展開できる仕組みが必要とされている。

ユナイテッドアローズ 加藤大輔氏(撮影:筆者)

 こうしたアパレル小売業界で起こり得る構造的な課題に対し、ユナイテッドアローズはAIを活用し、現場の声をデータとして蓄積・活用する仕組みを模索した。現在38期を迎え、グループ全体で273店舗を展開している同社でセキュリティやエンタープライズアーキテクチャ、データ活用を担当する加藤大輔氏が、独自AIエージェントの開発のプロセスと得られた成果を解説した。

 その中核となるのが、アマゾン ウェブ サービス ジャパンと共同開発した独自AIエージェント「SMART」(Store Manager Agent for Retail Tech)だ。店舗スタッフの気付きや現場の知見をAIで整理し、売り上げデータなどの客観情報と組み合わせることで、店舗運営や商品提案に生かすことを目指した。

印刷する
SNSでシェア

事例で学ぶ! 業務改善のヒント

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

こんなメディアも見られています

キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

無料会員登録
最新情報をいち早くチェック!

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます(メディアごとに文章は変更)

いますぐ無料会員登録

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9

キーマンズネット SNS

X @Keymansをフォロー

インフォメーション

キーマンズネットをフォロー