社内ITの不備で1人年18営業日の時間ロス、100人企業で約4400万円の損失換算に

ある調査によると、社内IT環境の不備によって従業員1人あたり年147時間が失われるという。しかも、この損失はほとんど可視化されておらず、運用課題のずれや、採用・離職へ影響している可能性もある。

 DXERは経営者・役員300人と正社員1000人を対象とした「社内IT環境と従業員の成果に関する実態調査」の結果を公表した。動作の遅い端末やツール不足などにより、従業員1人あたり年間147時間(約18営業日)が失われている一方で、この損失がほとんど可視化されていないことも明らかになった。

社内IT不備による時間ロスは1人年147時間 経営者と現場で要望にズレも

 社内IT環境の問題で、週にどのくらいの時間ロスが発生しているかという設問では、「週1時間以上」との回答は57.4%、「週3時間以上」は38.0%、「週6時間以上」は19.9%だった。週6時間以上の層では69.3%が業務成果を損なう実感を示した。

 従業員1人あたりでは、平均で週2.8時間、年147時間が失われるとの推計だ。約18営業日分に相当し、時給3000円で換算すると1人あたり年約44万円、従業員100人の企業では年約4400万円となるという。

社内IT環境の不備による損失(出典:DXERリリース)

 課題があったとしても、表面化しにくい構造も浮かんだ。「社内IT環境の改善が必要」と感じる従業員は44.2%だったのに対し、そのうちの62.4%は会社や上司へ要望を出していなかった。「要望を出したいが、できない」と答えた層の61.6%が週3時間以上のロスを抱え、また46.7%が成果への悪影響を実感した。「要望を出したいと思わない」と答えた層でも56.9%が具体的な困りごとを持ち、41.0%が週1時間以上のロスを抱えていた。不満を明言した割合は12.5%だった。

 経営者側では31.7%が従業員の不満や改善要望を聞いておらず、30.7%が満足度調査を実施していなかった。「不満や要望を聞いた経験がない」層のうち71.6%は満足度調査も未実施だった。

従業員・経営者のIT環境に関するスタンス(出典:DXERリリース)

 経営者の投資優先領域に関しては「AI・自動化ツールの導入」が47.3%で首位となり、「セキュリティ強化」(34.3%)、「PCやデバイスの刷新」(28.3%)、「IT・DX人材の採用・育成」(26.7%)が続いた。「ヘルプデスク・ITサポート強化」は8.7%だった。

 一方、従業員側の困りごとは、「AI活用の遅れ」(26.8%)、「アナログ業務の多さ」(19.2%)、「古いPCやデバイス」(18.6%)、「使いたいツールが導入されない」(17.9%)などだった。「運用や利用時の課題を1つ以上抱える従業員」は31.4%で、そのうちの50.0%が週3時間以上のロスを抱え、44.6%が成果の損失を実感している。

従業員・経営者のIT環境に求めるもの(出典:DXERリリース)

 採用や離職への影響についても調べた。社内IT環境を就職先や転職先選びの重要な基準とみる割合は全体で48.6%だった。「週6時間以上のロスがある」層では75.9%、「ロスがほぼない」層では32.4%となった。年代別では、20~30代において各数値が高い傾向にあり、「週3時間以上のロス」が59.7%、「転職先選びの基準とする」割合が56.5%、「改善要望を出したくても出せない割合」が33.3%だった。

IT環境が離職に与える影響(出典:DXERリリース)

 DXERは、AI活用の効果を見る際には新規ツールの導入だけでなく、端末や権限、業務フロー、問い合わせ対応など社内IT環境全体を把握する必要があるとの見解を示した。困りごとの1位「AI活用の遅れ」を課題とした回答者の67.5%は、それ以外の課題も抱えていたことを例に挙げ、総合的な社内IT環境を整えることが重要だとした。

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