実際にどのような使い方ができるのかを、今回は最新のクラウド版ツールの画面を見ながら紹介しよう。
ITサービスに悪影響を及ぼす事象は何であれ「インシデント」と呼ばれる。多様なイベントの中から運用管理部門の対応が必要なものを抽出して起票(インシデントのオープン、図2)し、その解決過程に設けられたプロセス間で自動的にワークフローを行い、経過を逐次記録しながら、解決(インシデントのクローズ)に導くのがインシデント管理だ。インシデント受付の仕組みは、特に各社製品それぞれの特色が出るところだ。
登録されたインシデントは解決されるまで管理画面から集中管理できるようになっている(図3)。
また、現在の状況をダッシュボードとして表示し、インシデントの発生状況や対応の進捗などをひと目で理解できるようにする機能も備えられている。
上記のインシデント管理機能を使いながら、解決までに必要な作業、例えば技術者のアサインや関連IT機器ベンダーへのサポート要請、サービスの開発、機器購入や貸し出しの手配、ナレッジの提供、その他ありとあらゆるエスカレーションが行われることになる。
その記録はインシデントにひも付いて管理されるとともに、今まで起きたことのないインシデント、つまりCMDBにもない情報については、原因を追求して解決策を探し、それを記録しておく機能がいる。これを行うのが「問題管理」機能だ。次に同様のインシデントがあれば、類似の問題を検索して解決策に短時間で近づくことができる。
インシデント/問題解決の際には、機器やソフト、ネットワーク、PCそのものや設定情報などに何らかの変更が加わるのが普通だ。それを常時管理するのが「変更管理」機能だ。
あるユーザーのための変更が他のユーザーのサービス障害につながるようなことがないように、緻密に現状を管理するために必須の機能だ。変更前に、その変更が影響する範囲を特定できるよう、関連するシステム構成情報を可視化する機能(図6)を持つ製品もある。
同様の意味で、変更した結果を適用するリリースに関しても、順番やタイミングは非常に大事。これには「リリース管理」機能が使える。こうして変更が加わったシステム構成は、リアルタイムに「構成管理」を担うCMDBに反映され、各機能がその情報をもとに連携して、インシデントの早期解決と問題対応能力の強化を強調して行うことになる(図7)。
この他、構成管理のグラフィカルな可視化機能や、自動的にリソースを探索して登録作業を簡素化する機能、運用管理システムとの連携機能、レポート、分析機能など、周辺の多くの機能がサービスデスクツールに搭載されている。
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