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ウェアラブル対応も登場、遠隔会議の新潮流IT導入完全ガイド(3/3 ページ)

» 2014年05月19日 10時00分 公開
[小山健治キーマンズネット]
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最優先で重視すべき音声品質

 遠隔会議システムには、映像、音声、資料共有、ホワイトボードなどさまざまな機能があるが、最優先で重視すべきは音声品質だ。

 映像は多少途切れたりコマ落ちしたりした場合でも、一般的な会議のようなコミュニケーションでは大きな支障はない。しかし、音声はそうはいかない。相手の音声が途切れるとコミュニケーション自体が成り立たなくなる。聞きづらい場合であっても、誤解を生じさせたりストレスを高めたりする原因となる。だからこそ、可能な限りクリアな音声品質を確保する必要がある。

 特に多人数が集まった会議室と遠隔地をつなぐ場合は、室内のエアコンやファンなどの騒音を除去するノイズリダクション、スピーカーから出た音がマイクに回り込むのを防ぐエコーキャンセラー、有効な会話パターンに反応して音声を適切なレベルに調整するオートゲインコントロールといった機能を有効活用したい。

映像もコミュニケーションの重要ポイント

 音声品質を確保した前提で、映像品質にもしっかりこだわりたい。音声会議には映像はないものの、Web会議やビデオ会議を導入したのであれば映像がもたらす情報の伝達力もしっかりと活用したい。

 例えば、遠隔地から状況説明やプレゼンテーションを行う際に、相手先の様子が見えないと話を聞いてくれているのかどうか不安な気持ちになる。また、多数の参加者と遠隔会議を行う場合、一人一人の様子を視覚的に確認できることでスムーズな発言のタイミングをつかむことができる。

 インターネットやモバイル回線など不安定なネットワーク環境下で映像の乱れを自動的に修復するロスパケットリカバリーや、発言中の参加者を特定して自動的に大きく表示するズームアップ機能なども活用したい。

遠隔会議のグローバル展開には注意が必要

 現在、規模の大小や業界、業種の違いを問わず、いかなる企業にとってもビジネスのグローバル化は避けられない課題となっている。日本と海外拠点の間のコミュニケーション手段として、遠隔会議システムを利用したいというニーズは多い。

 実際、日本企業の主な進出先である中国や東南アジアなどの新興国との間でも、遠隔会議システムは「思った以上に使える」レベルに達している。特に日中間の場合、通信回線の慢性的な容量不足がネックになることが多かったのだが、香港やシンガポールなどに中継サーバを設置することで、この問題を回避できるようになった。

 ただし、どこでも、どんな場合でも、必ず十分なコミュニケーション品質を確保できるわけではない。新興国においては、足回り回線のサービスレベルにバラつきがあり、建物や時間帯、通信キャリアによっても得られる通信品質はかなり違ってくる。そうした詳細な見極めや現地対応を日本から行うのは困難だ。その意味でも、遠隔会議をグルーバル展開する際には、現地の通信事情を熟知した代理店ネットワークやグローバルサポートの体制を完備したベンダーの製品を選ぶことが得策となる。

クラウドサービスの活用も検討すべき

 昨今、クラウドを通じて遠隔会議システムをSaaS型で提供するベンダーも増えている。他の業務システムと同様、クラウドサービスは基本的に初期導入コストがかからず、月額料金で利用でき、不要になったときも即座に撤収できるメリットがある。遠隔会議システムをスモールスタートしたいと考える企業にとって、有力な選択肢となる。

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