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知っておきたい、今の「ソーシャルメディア分析ツール」事情IT導入完全ガイド(3/3 ページ)

» 2014年06月02日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]
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「ソーシャルメディア=お得」は幻想なり

 多くの人が「ソーシャルメディアの中には必ず何かお得なものがある」と考えがちだが、漠然とした期待だけではうまくいかないものだ。何のために使うのか、しっかりとした目的を持って使っていくことが必要になる。

 その目的を達成するためには、全体の傾向をつかみたいのか、フリーコメントの中から深い情報を判断したいのかといったアプローチの違いもしっかりと意識しておきたい。

 例えば、ネガティブ、ポジティブ(ネガポジ)といった感情の全体傾向を把握する場合はデータ件数や全件データが収集できるかどうかがポイントとなり、ネガポジの具体的な中身について情報を深く掘り下げたい場合はマイニング系に強いサービスを選ぶことがポイントとなる。

 風評監視などのリスク対策であれば、口コミ件数など適切な閾値でアラートが出せるサービスが望ましい。同時に、炎上にいち早く気付くためにもスマートフォンなどのデバイス対応は見ておくべきだ。他にも、自社のコールセンターなどに集まった情報も含めて分析するのであれば、ソーシャルメディアの情報とクロス分析できるようなツールが必要になる。

スマートフォンのアラート画面 図4 スマートフォンのアラート画面(出典:ホットリンク)

対象メディアの数及びその深さ

 前述した通り、ブログや掲示板、Q&Aサイトなど分析対象となるソーシャルメディアは多数存在するが、サービス側でどの範囲まで対応しているのかを見ておきたい。最近では、テレビが口コミに大きく影響するケースもあるため、テレビ番組及びCM情報のメタデータが活用できるかどうかもチェックしたい。なお、FacebookはAPIで公開されている範囲の情報しか収集できないことは認識しておこう。

 また、過去の情報をどこまで保持しているか、利用できる情報の精度や粒度はどうかなど、サービスによって情報量やその質は異なっていることは意識しておこう。例えば、Twitterのプロフィール情報に登録されたものをベースに分析するのか、実際にツイート情報からのテキストマイニングによってユーザーごとの性別や年代を割り出したものをベースに分析するのかなど、情報そのものの精度はサービスによって違いがある。

目的にたどり着くために必要な検索速度

 一般的に日本でツイートされる件数は1日当たり4000〜5000万件ほどといわれており、それが継続的に蓄積され続けている状況にある。このTwitterのデータを除いて考えても、過去からの情報蓄積が既に100億件を突破しているサービスもあり、データ量は今後も増え続けることになるだろう。

 重要となるのが、実際にキーワードを入れてから結果が表示されるまでの検索時間だ。キーワードを入力しながら何度も仮説検証を行うことも多く、快適なレスポンスかどうかはしっかり事前に確認しておく必要がある。

 技術的には独自の分散全文インデックス技術によって日々インデックスを事前作成していたり、同じ情報が数多く表出するアフィリエイトサイトを自動的に除去する機能がついていたりなど、快適なレスポンスが確保できるような工夫にはぜひ注目したい。

充実のレポート機能をチェック

 これまでデータ分析及びそのレポート作成は、主に情報システム部門が行ってきた部分でもある。しかし、できる限り資料作成の手間を減らすためにも、ツール側のレポート機能はしっかりと確認しておきたい。

 具体的には、分析した結果を帳票形式で表示したりPPTの形式でレポート出力したりすることが可能となっており、決まったタイミングで社内や外部パートナーへ共有できる自動出力機能も備わっている。

 これまで情報システム部門に依頼が来ていた帳票作成が不要となり、作業負荷が大きく軽減される。もちろん、ローデータをExcelに抽出することも可能で、必要な形に変更することも可能だ。レポート機能の柔軟性はしっかりチェックしよう。

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