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モバイル利用ならやっぱり「クラウド型グループウェア」IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2015年03月16日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]

セキュリティを強化するアクセス制御機能

 クラウドサービスの利便性は、セキュリティリスクとも表裏一体だ。さまざまなクラウド型グループウェアのカスタマイズを手掛けるSIerでは、公開されたAPIを利用することで、標準機能だけでは実現できないセキュリティ強化策を実現する。

 具体的には、クラウドサービスとユーザー環境の間にゲートウェイ用のサーバを立て、このサーバが、社内からのアクセスはOK、ネットカフェや自宅からのアクセスはNGといった制御を行う。ゲートウェイサーバを通過しなければログインできないようにすることで、セキュリティが保証される。

また、このSIerでは、IPアドレスやMacアドレス単位による柔軟なアクセス制御を可能にしている。

アクセス制御 図2 IPアドレスや端末単位で制御できるアクセス制御機能(出典:サテライトオフィス)

グループウェアで在庫管理、カスタムアプリ機能

 スケジュール管理や掲示板、ファイル管理が利用される機能の中心となるグループウェアだが、サービスベンダーの中には簡易的なデータベース機能を提供することで、ユーザー企業自身が必要とする業務アプリケーションを簡単に作成できる「カスタムアプリ」機能を提供するところがある。

 ある製品では、アプリの作成に当たって現在約50種類の標準テンプレートが用意される。これらをそのまま利用することもできるし、詳しい知識がなくてもユーザー企業側で簡単にカスタマイズできる。

 実際にユーザー企業が作成するアプリには、営業部門やサポート部門の業務日報や人事部門が面接者名簿を管理するためのアプリ、安否確認情報を管理するためのアプリなどがある。また、これまでExcelで顧客管理を行っていた企業が顧客管理アプリを作成して、メンバー全員で共有して編集していくというケースもある。

 「うちは約20人の規模なのでスケジュール共有にもグループウェアはいらない」と考えていたユーザー企業が、カスタムアプリで商品の入出荷、在庫確認、生産の段取りなどを管理する在庫管理用の簡易アプリを作成した。在庫状況がリアルタイムで共有できるようになったことで、顧客を待たせることがなくなったという事例もある。

カスタムアプリ 図3 簡単に業務アプリケーションを作成できるカスタムアプリ機能(出典:サイボウズ)

運用を軌道に乗せるためには、誰かが率先して使うことが肝要

 クラウドサービスの登場により導入のハードルが下がったことで、初めてグループウェアの利用を検討するという中小企業も多いだろう。理解しておくべきことは、グループウェアは情報共有ツールなので、情報が発信されなければ、その活用もうまく回らないということだ。せっかく導入したグループウェアを使いこなすには、誰かが率先して情報発信をする必要がある。

 今回の取材でも「ツールを導入しました、はいどうぞ、という企業が結構多い」という話が聞かれた。結局、うまく活用されずにリプレースが考えられるようになる。しかし、グループウェア自体の機能に不足があるわけではなく、明らかに運用上の問題だ。

 うまく活用されているのは、やはり経営者が率先して気になるニュースなどを発信している企業や、グループウェアのワークフロー機能を使わなければ実業務が回らないような仕組みを構築している企業だ。運用を軌道に乗せるためには、グループウェアを日々使う環境をいかに作るかが、重要な鍵を握ることになる。

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