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「取りあえず」はNG、タブレットを机の肥やしにしないマニュアルIT導入完全ガイド(3/3 ページ)

» 2015年12月15日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]
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【ポイント4】1部署に1台はタブレット導入失敗の典型

 全部署にタブレットを導入したくとも予算の都合もある。それなら「各部署に1台ずつタブレットを配布して、どのように運用できるかを探ってもらおう!」と考えることもあるだろう。一見するとスモールスタートとなるこの手法は導入プロセスの第一段階に適しているように感じる。

 しかし、この方法は失敗することが多い。まず、1台のタブレットを全員で使ってみようとなると遠慮が生じる。最終的には誰もタブレットを使わない状態に……。逆に、ITに詳しい人だけが常時独占してしまっても困る。そもそも部署内での情報共有といった、それこそタブレットらしさを生かした使い方も1台のみでは検証不能だ。

 少数台分の予算しか確保できないのであれば、特定の部署に集中導入すべきだ。例えば販売部門だけ全員にタブレットを試験導入してみる。そこで運用してみて目的と利用シーンを明確にできたら、その成功事例を伝えながら導入部署を広げていくというプロセスがいい。

【ポイント5】独自アプリは運用コストを考えて

 タブレットを導入し、ビジネスシーンで活用しようとするときに避けて通れないのがアプリの問題だ。

 失敗事例を紹介しよう。とある物販系企業がタブレットを導入し、それなりの時間と予算をかけて「カタログアプリ」を自社開発した。当初は活用されていたのだが、あることを機会に使われなくなってしまった。その原因は「タブレット搭載OSのアップデート」だった。

 タブレットに採用されているOS(iOS、Android OS)は、頻繁にアップデートがかかる。メジャーアップデートならほぼ毎年、マイナーバージョンアップであれば数カ月に1度の頻度だ。アプリ側もOSアップデートに対応するための追加開発や改修が発生するケースがある。さらに、プログラムの改修が終わったら動作確認も必要だ。これらにかかる時間、コストがバージョンアップのたびに負担になる。コスト増によって利用を止めるという判断が合理的になることもある。

 わざわざ自社で開発しなくとも必要十分なアプリが存在する可能性は高い。また、クラウドサービスを利用するという選択肢もあるだろう。それらのアプリやサービスを利用しているのであれば、OSのバージョンアップがあった場合でも自社での対応は不要。多くの場合アプリやサービスにバージョンアップが生じたとしても追加料金を要求されることもほとんどないはずだ。

 これら5つのポイントを確認しながら、タブレットの導入を検討していけば、恐らくは失敗の憂き目に遭うことはないだろう。

コラム:MCMツールの有効性とは

 今回のタブレット導入のポイントについて話を聞いたのは、モバイルコンテンツ管理(MCM)ツール「Handbook」を提供するインフォテリアだ。タブレット導入に関して1000社を超えるヒアリング実績があることから取材先に選定した。

 タブレットの企業導入が始まったばかりの数年前は、ハードウェアの管理やセキュリティの担保が重要視され、まずはMDM(モバイルデバイス管理)ツールの普及が進んだ。タブレットやスマートフォンがすっかり普及した現在、MDMツールによる管理はもはや「当たり前」。MCMツールを導入することによって、エンドユーザーである従業員はいつでも最新の情報をタブレットで得られるようになった。また企業サイドも、アクセスログ分析によってどれだけタブレットが活用されているかが把握できる。

 タブレットを導入し、その目的を達成できているかどうかを実感するのは難しいもの。MCMツールによるアクセスログ分析を行えば達成状況を確認できるだろう。

MCM 図3 クラウドサービスとして提供されるMCMのシステム構成例(出典:インフォテリア)
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