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「取りあえず」はNG、タブレットを机の肥やしにしないマニュアルIT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2015年12月15日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

【ポイント2】トップダウンの導入決定が有効

 タブレット導入の失敗事例として「トップダウンによる導入」を挙げることがある。しかし、実際にはトップダウンが悪いのではなく、ポイント1で解説したような「目的」を明確化していないために起きる“事故”のようなものだ。

 とはいえ、トップが全てを決められないこともあり得る。その場合は、導入部署全体に「導入目標」を明確に伝達し、その目標を達成できているかどうかを把握するリーダー役を決めておきたい。

 また、現場からのボトムアップで進めようとすると、セキュリティポリシーの適用などで管理側と意見が対立することがある。そのため導入そのものが頓挫してしまったり、導入しても運用ルールがガチガチに固められてタブレット活用のうま味がほとんどなくなってしまったりして失敗に終わる可能性がある。

 タブレット導入を高確率で成功に導くためには、まずは試行部署にタブレットを与えスモールスタートするのが有効だ。例えば、トップから情報システム部門にタブレット導入指示が降りてきたら、まずは試行部署に使わせてヒアリングを行いたい。同時にセキュリティポリシーや管理手順など社内での運用ガイドラインを作成する。その後、一般従業員へのタブレット導入を進めていけば失敗は少なくなる。

導入アプローチ 図1 導入アプローチ

【ポイント3】タブレットの特徴を生かす

最近のタブレットは性能、機能ともにノートPCに迫るものがある。SurfaceやWindowsタブレットに至っては、Windows 10搭載のノートPCと変わらないともいえる。だからといって完全にPC代替になるかといえばそれは難しい。

 業務で使うことを想定した場合、タブレット、PC、そしてスマートフォンの各デバイスについてそれぞれの得手不得手をまとめると、下図のようになる。

各デバイスの得手不得手 表1 各デバイスの得手不得手

 まず「持ち運ぶ」という点でいえば、デスクトップPCは比較対象にさえならない。おのずと比較対象はノートPCとなるが、バッテリの持続時間などを考えるとタブレットに匹敵するほどの可搬性は持ち合わせていないだろう。

 次に「閲覧する」ということであれば、タブレットとPCに大きな違いはない。「操作する」という点では、タブレットは画面をタッチ操作できるし、PCはマウスやタッチパッドによる繊細な操作が可能であるから五分五分だろうか。

 注目したいのは「提示する」「作成する」の2項目だ。まず「提示する」だが、PCもしくはタブレットを営業先へ持ち出して、相手に画面を見せるシーンを想定してみよう。

 PCの場合、プロジェクタで画面を投映して情報を共有する。それがない場合は、画面をそのまま見せることになるがあまりスマートではない。一方タブレットは、画面を一緒にのぞき込みながら情報を共有するのが一般的で、アプリなどの操作もそれに適した作りを意識していることが多い。店頭などで来店客に資料を見せる場合は、タブレット一択となるだろう。

入力を強化する意味を考える 図2 入力を強化する意味を考える。「Surface 4」は専用キーボード「タイプカバー」と「Surfaceペン」で入力手段を強化できる。しかしこの使い方でタブレットを選ぶメリットはあるか。

 逆に「作成する」のはタブレットの不得意分野だ。文字を入力したり、図を作成したりといった作業は、タブレットのタッチパネルだけではかなり困難となる。ゆえに文書作成や表計算も…というのが現実だ。

 最近のタブレットの中には、外付けのキーボードやタッチペンが用意され、入力作業が容易になっているものもある。それでも作成作業に限定すると「あえてタブレットを導入する」意味は薄い。

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