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もう一度、基礎からおさらい「ナレッジマネジメント」の今IT導入完全ガイド(1/3 ページ)

社員間における情報共有の重要性について異を唱える人は少ない。情報共有のためのIT導入もかなり進んでいる。しかし、蓄積された情報を活用しているかとなると、まだまだ理想には遠い。

» 2016年04月18日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]

 ビジネスを行う上で社員間における情報共有の重要性について異を唱える人は少ないだろう。実際、電子メールやイントラネット、グループウェアなど情報共有のためのIT導入はかなり進んでいる。しかし、蓄積された情報を活用しているかとなると、まだまだ理想には遠いという企業も多いようだ。今回は、社員間における情報共有やノウハウの継承について考え直してみたい。

会員アンケートから見た「ナレッジ共有」の実態

 キーマンズネットでは2016年2月に、社員間の情報共有やナレッジの継承に関する会員アンケートを実施し、企業が抱える課題や取り組みについて調べた。これらは既に「情報システム部門が抱える情報共有とナレッジマネジメントの課題(2015年)前編」「同後編」として公開されているが、その中から特に象徴的だと思われる調査結果を紹介しよう。

 ナレッジマネジメントといえば、1990年代半ばから定期的に話題にのぼるキーワードだが、近年ではすっかり終息した感もある。今回の調査でも社内の情報共有の状況に対して「よくできている」と「まあまあできている」との回答を合わせると67.5%になった。

 また、情報共有の取り組み範囲についても「全社的な取り組み」との回答が75.9%を占めている。実際に導入しているITツールとしては「電子メール」(94.6%)、「イントラネット(EIP、社内掲示板を含む)」(67.6%)、「グループウェア」(65.8%)などの回答が上位に並んだ(複数回答可)。

 かつてナレッジマネジメントが注目を集めたころは、まずは紙のドキュメントや個々人のPC環境の中に閉じ込められていた情報やナレッジをITを使って広く共有し、可視化することが提唱された。その意味では、イントラネットやグループウェアを使った情報共有の取り組みは、多くの企業で一定の効果を挙げているといえそうだ。

社内コミュニケーション・情報共有状況/導入ツール 社内コミュニケーション・情報共有状況/導入ツール(出典:「情報システム部門が抱える情報共有とナレッジマネジメントの課題(2015年)・前編」)

ノウハウの共有や継承に課題あり

 一方で、社内コミュニケーションの満足度を尋ねると、約3割が情報共有に「不足」を感じていることが分かった。何よりも「今後の期待は?」という質問に対して「業務知識やノウハウの共有・活用がしやすくなること」が最も多かった(73.8%)ことも興味深いデータだ。

 恐らく社内ポータルやグループウェアを活用した「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」レベルの情報共有は進んでいるが、業務知識やスキル、ノウハウといった、もう一段高いレベルの情報の共有や継承に課題を感じている企業が多いと推測される。

 端的に言えば、情報共有の問題点は「情報の検索、再利用が難しい」(36.5%)ことにある。情報を集めて可視化する仕組みはある程度実現できたものの、その中から本当に必要なものや価値あるものを見つけ出し、日々の業務の中で生かす具体的な仕組みができていないわけだ。

 また、このようなツールは全員が活用してこそ真価を発揮するが、利用ユーザーに偏りが生じてしまうことも社員間の情報共有がなかなか成功しない要因だ。事実、「情報・ナレッジ共有の重要ポイントは?」という質問に対して最も多く寄せられた回答が「社内コミュニケーション・情報共有に対する従業員の意識向上」(55.9%)であったことも、これを裏付けているといえよう。

 アンケート結果からも分かるように、多くの企業は一定レベルの情報やナレッジの共有を達成しているものの、「これでよし」とするのか、それとも「まだまだ課題は多い」と受け止めるかで意見が分かれるところのようだ。では、情報共有やナレッジ継承の“本来の”在り方とはどのようなものだろうか。

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