スマートフォンや他のウェアラブルデバイスと違うのは、文字やグラフィックスではなく音をユーザーインタフェース(UI)に使うところだ。その利便性は、AppleのSiriなどの音声アシスタントの利用者なら納得いくことだろう。
また、いつでも身体の特定位置に装着されるのも特徴だ。スマートフォンのようにポケットに入れて持ち歩いたり、リストバンドタイプのウェアラブルデバイスのように上下左右に振られたりするようなこともない。さらに特定の身体部位に装着するウェアラブルデバイスの中では比較的装着の違和感や嫌悪感が少ないのも特徴だ。
こうした特徴から、図2のように多様な応用が考えられている。中でも注目したいポイントを以下に解説していく。
これまでのUIとの最大の違いは操作にディスプレイが不要になることだ。これはナチュラルUI(NUI)やゼロUI(ZUI)と呼ばれる次世代UIの一例だ。これはこれまでのサービスの在り方を大きく変える可能性が高い。
「ヒアラブル」技術に注力するNECは、その変化を「コンシェルジュ」から「バトラー(執事)」へのサービス進化と説明する。ユーザーが情報やサービスを求めてコンピュータにアクセスすれば、コンピュータが背後のWeb上などにあるコンテンツを(Siriのように)サジェストやレコメンドうる従来のコンシェルジュ的なサービスが、やがてはユーザーが身に着けているデバイスからの情報を基に、ユーザーが求めていると推定されるコンテンツやサービスを適時にプッシュまたはレコメンドするような、より個人に寄り添い、本人が気付いてもいないような潜在ニーズに応える気の利いた執事のようなサービスに進化するというわけだ。
近年急速な進歩を見せている音声認識や自然言語理解などの技術を背景にして、ハンズフリーでしかも視覚も妨げられない状態で各種操作や情報入手ができる「ヒアラブル」は次世代サービスへの動きを加速しそうだ。
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