耳に特化したパーソナルデバイスを利用する「ヒアラブル」技術が登場した。デバイスから語りかける執事のような世界が実現するか。
今回のテーマは「ヒアラブル」だ。「ウェアラブル」はおなじみだが、「耳」に特化したパーソナルデバイスを利用するのがこの仕組みだ。単なるイヤフォンではない。耳から得られる生体情報や音声を活用して本人認証やヘルスケア、施設内ナビゲーションにも利用できる双方向情報通信の技術だ。位置や移動、活動状況を活用すれば、必要な情報を尋ねなくてもデバイスの方から耳に語りかける「コンシェルジュ」よりも気が利いた「バトラー(執事)」のようなサービスが実現する。
ヒアラブルは、イヤフォンに類似した形状で耳に装着する「ヒアラブルデバイス」を利用し、スマートデバイスやPCを介してさまざまなサービスを活用できるようにする新しいコミュニケーションツールだ。
ヒアラブルデバイスは、マイク一体型のイヤフォンのようなもの。のどや口に直結している耳からは音声が明瞭にキャッチ可能で、スマートフォンなどの音声操作に利用できる。また心拍や呼吸などの体内音もクリアに得られ、身体状況やストレス状況を測るデータとして活用可能。さらに耳の中に向けて発した音の反響音も拾える。反響音は個人ごとに異なる耳の中の形状により、ユニークな特徴を示すので、一種の指紋のように本人認証に利用可能な情報になる。
またスマートフォンに搭載されているような9軸センサー(加速度センサー×3、ジャイロセンサー×3、地磁気センサー(電子コンパス)×3)などが搭載可能で、移動情報、姿勢、顔の向きなどの常時検出が可能だ。
ユーザーが持つスマートフォンなどとBLE(Bluetooth Low Energy)で接続・連携し、それを親端末としてインターネットに接続、クラウド上の各種サービスを利用するのが一般的な利用イメージだ。収集した情報はクラウド上のサーバが蓄積、保管、利用する。
製品によって搭載する機能は異なり、今のところ心拍数や移動距離の計測を中心にしたヘルスケアやスポーツサポートのためのアプリケーションが多いが、工夫次第で幅広い応用が考えられる。
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