日本では、2016年の末ごろから社内システムのマイクロサービス化を検討する企業が増え始めました。現在は大手企業を中心に、システムのどの部分を切り出し、どのデータを外部と連携させるのか思案している段階だと四宮氏は話します。
先に例に挙げた保険や流通、金融業界の他にも自動車やガス、電気の分野で検討が進んでいます。具体的な事例としては、ANAが2016年に、一枚岩だった国内線インターネット予約システムを刷新し、アプリケーションの追加といった変化に対応できるアーキテクチャへと変更しました。現在、予約システムは、旅客のアカウントを管理する機能を持ったシステムや、マイレージプログラムの管理機能を持ったシステムとWeb APIを介してつながり、システム間でデータを連携しています。現時点では、社外のシステムと連携することはしていませんが、今後はインターネット予約サービスをWeb API化し、公開することも検討課題になるだろうと述べています(日本CAの事例資料より)
さて、システムをマイクロサービス化するメリットを伝えられたでしょうか。ちなみに、この方式を導入する際にはAPIゲートウェイというプラットフォームが必要になります。APIゲートウェイの役割の1つは、セキュリティを確保すること(認証によってセキュリティを確保するOAuthやOpenID Connectなどの技術を使います)。マイクロサービスの方式では各部品が独立してデータをやりとりしているため、APIゲートウェイを使って各マイクロサービスにセキュリティを適用し、社内外のシステムと安全につなぐ必要があります。また、APIゲートウェイは、通信プロトコルの違いを吸収する機能もあります。もしも、各システムの窓口でSOAP, MQ, FTPといった異なる通信プロトコルが使われていた場合に、その違いを吸収する通訳として機能し、共通のREST APIに変換して内外からデータを呼び出します。
斎藤昌義『図解 コレ1枚で分かる最新ITトレンド 増強改訂版』技術評論社、2015年3月、279項。
日本CA、「全日本空輸様:CA API Gateway/CA DevTest Solutions 導入事例」
@IT 「5分で絶対に分かるAPIマネジメント、API経済圏」
CHANGE MAKERS 「Web APIが生み出す経済効果とは〜上〜」
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